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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.8.6 ■■■

甲虫

どの様な甲虫を指すか、一考の価値あり。わざわざ、樹木の名前としても通用するとしているからだ。・・・

】,
草中有樹。
   [卷十七]廣動植之二 蟲篇]

もともと、""[=虫+羌]だけで黒色の甲中を指す。俗称の"屎殻郎"/クソムシ/Dung beetleの方がそれらしい。もちろん黒だけでなく、金色の種もいる。その場合は"屎金龜"と呼ばれたりする。
屎と呼んで尊崇の対象にすることはなかろうから、エジプトのように太陽信仰と絡む[スカラベ/Scarab]ことは一切なさそうだが、亀という呼び方をする以上、その他の些末な虫どもとは違う扱いなのだろう。

言うまでもないが、クソムシとは、生物学的分類に基づいた種の名前ではなく、糞につく金龜子/黄金虫系の甲虫というにすぎない。ただ、甲虫の主流派であり、今迄に様々な種類が見つかっている。
ちなみに、日本列島での糞コロガシと言えば大黒黄金である。
したがって、「酉陽雑俎」が取り上げるのはコヤツと考える人も多かろう。

しかし、""という文字の前に、わざわざ""がついており、これは山中の下草がある疎林に棲む吉祥的な虫ということだったのではあるまいか。
この説明でも、よく居る樹木があるとされており、本来は、糞的な輩とは一線を画す虫のような気がする。
小生は、金蚊/カナブン/Drone beetleの類と推定する。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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