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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.8.12 ■■■

ミミズ型蛭か

なんなのか、はなはだ推定しにくい虫のことが書いてある。・・・

【雷】,
大如蚓,以物觸之乃蹙縮,圓轉若鞠。
良久引首,鞠形漸小,
復如蚓焉。
或雲人毒甚。
  [卷十七 廣動植之二 蟲篇]
【雷
大きさは、ミミズ
/蚯蚓程度。
物で触ってみると、縮こまって
[蹙]小さくなる。
丸まり転がるので、毬のようである。
暫くそのままにしていると、
首から上を引いて、毬の形も暫時小さくなっていく。
そのうち、再びミミズ状態に復帰する。
ある人が言うには、
 は人を噛む上に、甚だしい毒ありだ、と。


""の異体字の""はと呼ばれる弁慶蟹系の蟹の名称に含まれているが全く無関係。

どう見ても、//ヒルである。

日本では吸血性の山蛭以外はほとんど無視されているので、そのイメージしかないが、大陸には様々な種類がいるし、どちらかといえば山蛭はそれほど注目されていない感じがする。
ザリガニや魚に寄生する水棲もいる位で、当然ながら、沼や湿地、はては草地にも進出している。寄生するにしても、甲殻類から哺乳類までお相手は色々。なかには、小動物を補食するタイプさえ存在する。
成式が、つついてみたりして、ご観察の様子がうかがえるから、田圃に存在する水蛭の大型の可能性が高い。

そうなると、代表的なのは、体長10cm程度の馬蛭か。
はたして、丸まるかは疑問だが、吸盤があるし、蠕形だからそんなことができるのかも知れない。成式はあれこれ検討するのが好きなようだから、触り方にひと工夫があるのかも。

毒性のほどはわからぬが、そのような情報はなさそう。雷との形容は、雷鳴を聴くまで離れないということか。この大きさだから、多分それほどの吸着力はないだろう。日本にも類縁がいる筈だが、ミミズ型蛭に吸いつかれた話など聞いたことがない。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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