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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.9.28 ■■■

官職地位の大変動

官僚機構における、権力闘争とは、職掌と職位の制定合戦でもある。・・・

侍中,西漢秩甚卑,若今千牛官。
舉中者,皆禁中。
言中嚴,謂天子已被冕服,不敢斥,故言中也。
今侍中品秩與漢殊絶,猶奏中嚴外
非也。
 [續集卷四 貶誤]
侍中は、西漢の官職地位上では著しく卑しい扱いだった。
今のランクで言えば、千牛という官位のようなもの。
この官位だが、"中"が使われており、
このような名称はすべて禁中を意味している。
例えば、中嚴の意味は、
天子がすでに冕服
{儀式用礼装の冠と衣服}を被ったことを謂うだけ。
準備が整ったと知らせるにすぎず、
なにか思いがあって、それをやろうという訳ではない。
だからこそ、"中"と言うのである。
現在の、侍中の官職地位として与えられている品は、
漢代とは殊更に隔絶したランクと言ってよい。
だが、"中嚴外"を上奏しているだけの役割でしかない。
コレ、"非"と言わざるを得まい。


侍中とは、侍中府に属し、皇帝の身辺に侍する殿中の奏事役である。帝の乗輿と服飾も担当していた。
侍中版奏「請中嚴」。戟近仗列於庭。三刻,群官就位,諸侍臣詣閣奉迎。侍中版奏「外」。皇帝服武弁,禦輿以出,即御座。 [「新唐書」卷十六 志第六 禮樂六 軍禮 皇帝親征]

一方、千牛備身とは、刀{1,000頭の牛を屠殺可能なほと鋭利な刀]をお持ちし、帝に侍る左右の禁衛武官である。

両者ともども、およそ、政治的重臣の果たす役割とは無縁。

ところが、侍中が重職化し、事実上宰相と同等として扱われるようになり、枢機にまで参与することになる。
その理由のほどは、浅学の小生には判断が難しいが、もともとは丞相の属官だったから、それを外して丞相に対抗させようという動きだと思われる。
帝が科挙で登用した丞相を使って政治を動かす仕組みを作った訳だが、それをなんとしても壊したい勢力が仕掛けたのであろう。貴族守旧派ということか。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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