表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.10.13 ■■■ 唐代の情緒ピッタリ野草浅学の身には初耳の草の名前が登場。・・・席箕,一名塞蘆,生北胡地。 古詩雲: “千裏席箕草。” "席箕"は、気候変動する乾燥地帯の放牧地域に生える多年生群落性の草。芨芨草と呼ばれているようだ。[葉形はNeedlegrassで1本づつ立っている。羽茅の仲間。] "北胡"の地とは、ゴビ砂漠周辺のステップ地から蒙古高原にかけての灌木が少ない地域ということになろう。おそらく、草丈はせいぜい15cmだろう。 放牧用飼料としては、あくまでも根粒菌との相性が良い豆系統が最良と思われるが、それに向かない地や、冬場にかけては、この草が一番のターゲットになる筈。ただ、塩分が多い箇所は別種ということになろうが。 そのような、千里に渡る風景が、心に沁みるのであろう。 なにせ、席箕草は唐〜宋の詩に"経常出現"なのだ。 そのなかでは、李賀の詩のなかの、"(城頭月千里。)…秋靜見旄頭,沙遠席羈愁。"という句が頻繁に引用されているので、これが一番ジーンとくるのだろう。 以下、見つかった詩を並べて、ご紹介しておこう。どのような情緒なのかわかるかも。・・・ 「塞下曲」 李賀 胡角引北風,薊門白於水。 天含青海道,城頭月千里。 露下旗濛濛,寒金鳴夜刻。 蕃甲鎖蛇鱗,馬嘶青塚白。 秋靜見旄頭,沙遠席羈愁。 帳北天應盡,河聲出塞流。 「句」 王建 單于不向南牧馬,席萁遍滿天山下。 卻公不易勝,莫著外家欺。 錦江詩弟子,時寄五花牋。 花燒落第眼,雨破到家程。 一朝金鳳庭前下,當是虚皇詔沈曦。 宣城四面水茫茫,草蓋江城竹夾牆。 「出塞即事二首 其一」 顧非熊 塞山行尽到烏延,萬頃沙堆見極邊。 河上月沉鸿雁起,磧中風度犬羊膻。 席羈草断城池外,護柳花開帳幕前。 此處游人堪下泪,更聞終日望狼烟。 「塞下」 秦韜玉 到處人皆著戰袍,麾旗(or 席羈)風緊馬蹄勞。 K山霜重弓添硬,青冢沙平月更高。 大野幾重開雪嶺,長河無限旧云涛。 風林關外皆唐土,何日陳兵戍不毛。 「送李騎曹靈州歸覲」 張籍 翩翩出上京,幾日到邊城。 漸覺風沙起,還將弓箭行。 席羈侵路暗,野馬見人驚。 軍府知歸慶,應教數騎迎。 「邊城听角」 高駢 席羈風起雁声秋,隴水邊沙滿目愁。 三会五更欲吹尽,不知凡白幾人頭。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |