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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.11.1 ■■■

脱皮樹木

情報は極めて乏しいが、成式の気分になって、樹種を推定してみよう。・・・

【黝木】,
節似蟲獸,可以為鞭。


黒っぽい樹木といえば、日本の独自種である黒木だが、これは大陸に類似種が無いようだ。この木は、灰から明礬を採取する山礬/灰木の類だから、あってもよさそうに思うのだが。
マ、あったとしても、当該樹木の感じはしない。

それよりは、大陸に広く分布しているK樺/八重皮樺/Asian black birchだろう。イメージ的にピッタリと思うが、どうか。

と言うか、節が虫・獣に似ているという意味が解せぬ訳で、これを脱皮を示していると考えると、この木が適合していそうというだけのこと。
観察好きの成式なら、こういう特徴に一大関心を払ったに違いないということで。

和名の八重とは、文字通り皮が重層的になっているという意味。この木を見れば誰でも驚くが、重層化している皮が順繰りに剥がれ落ちていくのである。そう言われると見た覚えがあるかも。コリャ、なんらかの病気かと思ってしまう訳だが。
もっとも、今や絶滅危惧種のようだ。

この木が鞭用に使われていたかは、なんとも言えぬところだが、寒い地域では笞刑に樺條製長鞭笞が使われていた可能性はあろう。ご存知、北欧サウナでは自分で樺樹の枝を持って身体を打つのだから。目的は違うとはいえ、刑罰の名残ではないか。あるいは、宗教的なものかも知れぬが。
但し、中華帝国では、鞭打ち刑で殺害しかねない風土だから、なんとも言い難い。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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