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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.11.11 ■■■

八哥鳥

八哥鳥と言えば、たいていは絵の世界での鳥で、具体的なイメージがある訳ではない。しかし、唐代の貴族にとっては極めて親しい鳥だったかも。・・・

勾足,交時以足相勾,
促鳴鼓翼如鬥状,往往墮地。
俗取其勾足為媚藥。


, 寒皋 or 八哥/八哥鳥/Crested Mynaは騒がしく鳴くことで知られる。(「山海経」中山10山系のも同じと言われている。)

群れて喧しい椋鳥の南方系の種と考えればよいだろう。体色は黒で喙と足が黄色系なので、そこそこ目立つ。8という名称は、黒い羽に白い斑模様が八の字に似ているからとされている。
本来は樹林生活者ではないかと思うが、ヒトの周囲を横行する鳥でもあり、頭の羽冠が面白いから、ペットとして飼われることも多かったであろう。それがいつ頃からかはよくわからないが。

系統分類を無視して強引にに言えば、哥/九官鳥/Hill mynaとたいして変わらぬ種ということ。ご存知物真似声の名手だが、八哥鳥も舌の構造は同じようなものだろうから、そのような能力はある筈。その力が発揮されるか否かは、どこまで人に懐くかで決まる。鳥が飼い主を恋すると、声でその気を引こうとする訳である。

と言うことで、おそらく飼育種で交配が行われており、その際に互いに足を絡めたりすることが知られていたのであろう。そうなれば、子孫繁栄のため、この精力を頂戴致したくということで、足の服用がなされることになる。

本当に、交接でそのような姿態をするのかははなはだ疑問だが、時に激しい動きをする鳥のようである。というか、足の動きがえらく目立つ鳥だったのであろう。九官鳥も横跳びを忙しく繰り返すことがあるから、この類の鳥の愛の重要な表現形式かも。

白楽天の「和夢游春詩一百韻」には、"酩酊歌鷓鴣,顛狂舞。"とあるし、皎然も「述祖コ贈湖上緒沈」で、"初看甲乙矜言語,對客偏能舞。"と。

但し、この手の鳥が、もともと勾足であるとは思えないから、雑食性ということもあり、たまたま重金属中毒で奇形が多かった可能性もあろう。なにせ、ヒトがわざわざ中毒になる位の時代だったのだから。
そう考えると、舞うが如き激しい動きとは、本能というより中毒症状かも知れぬ。そうなれば、止まり木から落ちることもあろう。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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