表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.11.13 ■■■ 赤狼豺/赤狼 or ドール/Dholeが紹介されている。・・・獵者不殺豺,以財為同聲。 又南方惡豺向人作聲。 [續集卷八 支動] 猟を生業にしている者は豺の殺生はしない。 それは、"豺"と"財"の音が同じだからである。 それと、 南方では、 豺が人に向かって吠えることを悪しきコトとみなしている。 一目でわかる犬体型だが、オオカミ〜コヨーテ〜ジャッカルというイヌ系の主流とは一線を画す種に思える。 → 「肉切歯野獣の分類」[2013.11.30] 学名が決まった頃は、すでに高山地域にしか棲んでいなかったようだが、本来はユーラシア全域の草原地域に群れを作って生活していた種であろう。 中華帝国繁栄とは、ドールの餌の対象である野生動物生育域が激減を意味した筈で、その末路は決まったようなもの。 そんなこともあって、縁起担ぎのお話が喧伝され、ドールを無闇に殺すなとの運動もおきたのだが、ほとんど効果はなかった。 成式が指摘するように、ヒトに対抗する悪しき動物なのは間違いないからだ。野生の餌が僅少になれば、集団で家畜を襲う方向に進むしかなく、完璧に駆逐される運命なのだ。 それに、獲物が生きているうちに内臓を引きずりだす食性が知られているから、仏教徒からも忌み嫌われたであろうし。 ちなみに、上野動物園にはドールの群れが飼育されていたが、2016年夏に長寿だった最後の個体が死亡してしまった。おそらく、この先見ることはできないだろう。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |