表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.12.17 ■■■ 浴器段々絶景広西〜雲貴〜青蔵〜四川には目を見張るような奇景がところどころにある。そんな場所の1ッと思われる話。[續集卷二 支諾皋中]・・・ 融州河水有泉半巖, 桂林の南西で、多雨に晒される石灰質地域が多い融州[@広西柳州融水]を流れる河水にある"泉半巖"でのこと。 (棚田のような石灰岩の層で有名なのは四川東北部の湖沼群「黄龍」だが、融州には浴槽的な形が連なる地ができていたのだろう。) 泉半巖ではないが、柳州刺史に左遷された、自然詩人と呼ばれる柳宗元[773-819年]の作を引いておこう。この辺りの風土がなんとなく伝わってくる。・・・ 「登柳州城樓寄漳汀封連四州」 柳宗元 城上高樓接大荒 海天愁思正茫茫 驚風亂颭芙蓉水 密雨斜侵薜荔牆 嶺樹重遮千里目 江流曲似九迴腸 共來百越文身地 猶自音書滯一郷 將註其下,相次九磴,毎磴下一白石浴斛承之,如似鐫造。 嘗有人攜一婢,取下浴斛中浣巾。 須臾風雨忽至,其婢震死,所浣巾斛碎於山下。 自別安一斛,新於向者。 将に、その名の通りで、その河の水が湧くように下に流れ、相次ぐ9つの石段に注いでいる。 その1段毎に、裸臥で入る白石製の浴器のようなものができており、その水を受け入れるようになっている。まるで石を彫刻して造ったように見えた。 その地に、嘗て、婢を一人連れて訪れた人がいた。下段の浴器を選んで、その中で手拭を洗ったのである。 すると、早速にして、突然の風雨に襲われたのである。そして、婢は雷に打たれて死んでしまった。 手拭を洗った浴器の方は砕け散って山の下へと。 そして、それとは別の浴器が安置されていた。それは、前のものより新しかった。 白石造りの段々畑に青い水を張った様な景色といえば、観光地"九寨溝"だが、そこまで大規模でなければ、類似の小規模景勝地は色々あった筈。多雨にして、暴風も吹く場所であれば、落雷は珍しいものではない。突如の天候急変に遭遇しただけのこと。 ・・・妾的な婢と二人での楽しい遊興になるところ、思わぬ災難にあってしまい、実にご不運なことでしたナ。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |