表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.12.18 ■■■ 引路虫特段、悪さなどしないし、可愛くても、異なる虫となれば即殺すのが鉄則。それだけの話ではないか。[續集卷二 支諾皋中]・・・登封嘗有士人,客遊十余年歸莊,莊在登封縣。 夜久,士人睡未著,忽有星火發於墻堵下, 初為螢,稍稍芒起,大如彈丸,飛燭四隅, 漸低,輪轉來往,去士人面才尺余。 細視光中,有一女子, 貫釵,紅衫碧裙,搖首擺尾,具體可愛。 士人因張手掩獲,燭之,乃鼠糞也,大如雞棲子。 破視,有蟲,首赤身青, 殺之。 嘗て、登封[@河南鄭州]出身で、10年以上各地を客人として回遊していた士人がおり、荘園に帰ってきた。もちろん、その荘園は登封にあった。 少林寺がある嵩山の地である。成式の時代だと、武則天が封禅を行ったということの方が有名だったかも知れないが。 その士人だが、夜遅くなっているのに、眠っても目が冴えた状態のまま。 すると、忽然として星屑のような火が、一続きの塀から発生。 初めはてっきり蛍だと思ったが、 そのうち、ほんの少し彗星の尾のようなものになってきて その大きさは彈丸ほど。 燈火の四隅を飛んでいたが、暫時低いところに行き、 輪のように回って、往来するようになり、 ついには、 士人の顔面から1尺ほどのところまで。 そこで、その詳細を確かめるべく、光の中を視たところ 女子が一人いた。 簪/カンザシに似た武具を挿し、紅の肌着に碧の裳裾を着用。 首を揺らし、尾を震わせるなど、 全体の形を備えている様はとても可愛いものだった。 そこで、士人は手を張りだして、掌で被って捕獲した。 そして燈火で見てみると、なんど鼠の糞であった。 その大きさは、雞棲子[=p莢/サイカチの豆@「本草綱目」木之二]くらい。 これを破壊し、じっくり視たところ、虫がいた。 首が赤で、身体は青。 すぐに殺した。 この虫だが、いかにも"色彩鮮絶"であるから、牙を持っている全長1cm位の虎甲/斑猫/Tiger beetle、通称"引路虫/道教え"の仲間ではないか。 但し、一般的には昼光性の虫であり、発光する種が存在するという話も聞かない。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |