コア技術と技術プラットフォームの設定


 欧米企業は、リストラクチャリングを通じてコア事業への大胆な絞込みを終え、これから飛躍のためのイノベーション創出に賭けようと動いている。知恵で勝負する時代到来と称し、挑戦的な経営方針を打ち出している。迫りくる「産業革命」の序盤戦からチャンスをものにしようとする考えだ。欧米企業のこの動きは、研究面でいえば、コアコンペテンシーを武器にした大きなビジネス創出への挑戦開始ということになる。

 いよいよ熾烈な生存競争が始まったと言えよう。

 思いもよらぬ産業の融合や、無視していた国々の急進で、圧倒的なナンバーワン企業さえ安泰の保証は無い。
 一方で、すべての企業や個人に、とてつもない飛躍のチャンスが訪れる。

 そうなると、武器になるコアコンピタンスを明確にして、オリジナルな事業構想を組織的に案出することが勝利の鍵だ。
 まさに、「知恵」が価値を生む時代の到来なのだ。




 日本企業のコアコンペテンシーへの注力決断が遅れている問題は深刻だ。この遅れは、数年後から確実に事業業績に現れて来る。

 基盤がしっかりした大企業であるから、兆候が出るのは先だ。しかし、いざこの遅れに気付いた時に復活は難しかろう。研究開発マネジメント上、今重要なのは、こうした問題意識をもつことだ。(技術の面から読み取れば、コア技術の育成・強化による事業競争戦略策定ということ)

 「技術の棚卸」をした上で、武器とすべき技術領域を決める。これが「コア技術」である。勿論、とがった要素技術をコア技術にしてもよいが、代替技術が登場することが多いので、長続きしないことが多い。

 一方、メカトロニクスのような融合技術をコア技術に選定すると、競合は追いつくにくい。従って、こうした領域を選定し、自社独自の技術体系を作り上げることで、世界のトップとなる方針がお勧めだ。

 選定する場合、戦略的なインパクトが大きい要素技術が入っている必要がある。その上で、こうした要素技術を活用する際に利用する技術群から、他社にとっては錯綜した技術で、活用が難しそうな分野を探せば、自然な形で「コア技術」領域を決めることができる。


  《参考文献》
  小久保厚郎著 『イノベーションを生み出す秘訣』 日経BP社 1998年 \2,000.-
  ・実践的な手法やイノベーション創出のポイントを解説
         

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