大型商品開発を進める際、「画期的アイデア」探しにこだわり勝ちだ。しかも、アイデアは個人のひらめきから生まれるので、ユニークな研究者に期待が集まりがちだ。しかし、こうした発想で研究開発マネジメントを行うのは得策とは言えない。というのは、「どのアイデアが画期的なのか?」、あるいは、「誰がユニークなアイデアを生み出せそうなのか?」という問いに答えられない限り、個人の創造力に期待するということは、「勝手に研究を進めてよい」と言っているのと変わらないからだ。
経験論からいえば、実は、組織的な活動を進めることで、革新的なアイデア創出ができる。決して難しいことではない。
といっても、注意すべきことが2つある。
まず第1に、文殊の知恵に期待すること。様々な意見や、新しい刺激にさらされる環境をつくり、素晴らしいアイデアを生み出そうという意気込みがある集団活動を立ち上げることが重要だ。周到な準備の上、ウオーミングアップに十分時間を割けば、チーム活動で、優れたアイデアを創出できる。ここを手抜きしたり、必要な準備を怠れば、当然ながら凡庸なアイデアしか生まれない。
第2は、段階を踏んでアイデアを絞り込むことだ。拙速はまずいが、結論を急ぐ余り、あせってアイデアを選択するべきでない。というのは、アイデアが素晴らしいかどうかは、初期段階では、すぐに判断できないからだ。多くの場合、ユニークなアイデアは「変わっていて面白いが事業としては無理」と見なされがちだ。生のアイデアは荒削りだから、普通の見方だとどうしても、無理筋に移る。これが、チャンスを見逃すもとだ。従って、最初の段階では、魅力的に見えるアイデアを直観で選定せざるを得ない。といっても、駄目なアイデアも混ざる。選定したアイデアを少し磨いてから再度判断せざるを得ないのである。もしも、磨ききれなかったら、廃棄すればよい。---こうした、実践的な仕組みを作ることが、商品コンセプト案出では重要なのだ。
下図に、こうした仕組みの典型例を示した。