---デジタルメディアの進展 その1

            デジタル化による一撃は強烈だ。

 インターネットには直接関係無いが、デジタル化が与えるインパクトとして、良く知られている逸話の再考から始めよう。

 まずは古い話。
 CDの登場で、レコードが駆逐された。当然、レコード針事業は続行が困難になった。誰でもが知っていたレコード針企業も、清算の道をたどった。
 大変化だった。しかし、大騒ぎにはならなかった。産業構造がほとんど変化しなかったからだ。その上、機器メーカーも音楽メディア企業も、メリットが得られたから、ほとんどの人が変化を容認した。

 同じことが、90年代にもおきた。
 今度はCDで、紙媒体を駆逐した。一撃をくらったのは、1768創業の有名な百科事典「ブリタニカ」である。
 マイクロソフトがCD媒体の「エンカルタ」を広範囲に配布したため、極く短期間で経営が傾いてしまったといわれる。(代表的分析:エバンス他著「ネット資本主義の企業戦略」1999年ダイヤモンド社刊)
 こちらは、レコード針の問題とは異なる。というのは、セールスマンが高額なセットを販売するという百科事典産業構造の土台が覆されたからだ。そのままの業態を続ければ没落必至といえよう。

 これから始まる疾風怒涛のような時代を予感させる出来事といえよう。最初はデジタルメディア分野で、このような事態が次々と発生するのである。

 ここまでは、誰でも良く知る話だ。重要なのはこの先だ。
 レコード針とは違い、百科事典そのものが不用な訳ではない。そうなると、百科事典市場で、「ブリタニカ」と「エンカルタ」のCDどうしがシェア争いを繰り広げることになるのだろうか。

 この答えは、現実を見た方が早い。ブリタニカはドットコム企業化した。デジタルメディアの情報・学習・知識の提供業に変身したのである。他のメデイア企業とも提携した。Encyclopadia Britannicaはインターネット上で検索できるようになり、99年10月無料公開方針が宣言された。(もちろんオンライン販売で、CD・DVD商品も提供されている。)百科事典自体は相変わらず事業の核なのだが、大部からなる書籍の販売事業や、百科事典情報の検索サービス業ではなくなった訳だ。

 営利企業が無料サービスを続けるためには、このサービスを利用して、別な事業で収益をあげる必要がある。そうなると、仕組みの優劣で業績が左右されることになる。

 このように、インターネット時代に合わせ業態を大きく変えざるをえない企業が、今後続出してくるだろう。もちろん、業態を変えたからといって成功するとは限らないが、チャンスはとてつもなく大きい。百科事典販売と違い、「夢」はどこまでも広げられるからだ。
 こうして、新産業が芽生えていくことになる。
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