---デジタルメディアの進展 その3

            DVDの著作権保護にほころびが発生した。

 DVD市場が立ちあがった。

 この産業で、今後を左右しかねない問題がおきた。と言うには、大げさすぎるかもしれない。
 小さな動きなので、新聞では余りとりあげられないが、インターネット時代の本質にかかわる事件が起きた。

 無料OSで有名なLinuxでDVDを見ることができるソフトが突然登場したのである。Windowsしか使えない状態を突破すべく作成されたソフトなのであろうが、大問題なのは、このソフトでDVDがコピー可能になってしまった点にある。しかも、そのソフトはインターネットで公開された。早速、2000年初頭に司直の手が入った。米国ではなく、欧州での話しである。(インターネットのCNetやZDNetの記事からの判断。)
 当然ながら、映画産業側は著作権を脅かすものとして、動くことになる。政府もそれに対応して動く。しかし、一度流出してしまえば、後手の対応ではたいしたことはできまい。これがデジタル化社会の怖さだ。

 十分練って作られた著作権保護のしかけがあると言われていたにもかかわらず、破るのはたいして難しくないことが、この事件で判明した。数ギガという膨大なデジタル媒体でも簡単にコピー可能な時代においては、デジタル化コンテンツの不法コピーを防ぐのは至難の技なのだ。しかし、コピー防止のために、歴史の流れを止める訳にはいくまい。ほころびを前提にして、前に進むしかないのだ。

 ところが、問題はこれだけでおさまらない。根はもっと深い。

 実は、この違法ソフト開発者を支持する運動があるのだ。これを聞いて驚かれる人もいよう。
 映画産業界や電子機器産業界の視点からみれば、不法コピー防止は当然だ。しかし、Linux愛好者なら異なる見方になる可能性も高い。争点は不法コピーといった著作権の問題ではない。オープン・ソースを目指すLinuxの立場からいえば、映画産業界や電子機器産業界が勝手に標準を押しつけていると考えるから、ソフト開発者にエールを送るのだ。

 ここで問われているのは、技術の進歩を利用して社会に貢献する意志といえよう。
 Linuxコミュニティが意気軒昂なのは、大企業の知恵を結集したソフトを、名の知れぬ1人の頭脳で突破できたという事実だ。大企業は、古い技術で満足し、次世代技術開発を怠っているように映る。そのため、不法コピー防止の名の下に、新しい技術を抑えようとしているのではないかと疑う人もでる。「コピー防止ソフトが破られてこまるなら、それを凌駕するソフトを次々を考えよ」という思想がこの根底にある。(技術的には、プレイ回数、利用期間、プレイ機器の限定、等による著作権保護も可能だ。もちろん、破られる可能性はあるが。)

 要は、熾烈な技術競争をしかけられているのだ。当然ながら、技術の敗北者は、大きなダメージを受ける。
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