---日本のIT戦略

  白書でe-Japan構想の内実がわかる。

   「平成14年版情報通信白書」(7月刊)は政府の方針がよくわかる力作だ。「IT活用」に焦点をあて、今後の課題を明確にした、という。

 「情報通信政策」の解説はIT国家戦略から始まる。ここで、高度情報通信ネットワーク社会を形成するための施策が重要、と明確に語っている。E-Japan重点計画に沿ってH14年度に2兆円弱が投入され、この施策で2005年には36.5兆円の生産誘発と185万人の雇用創出ができるとの想定だ。(http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h14/html/E3012000.html)

 こうした、記述を眺め続けていると、ITの活用で、全国津々浦々まで生産性向上が図られ、新産業が勃興すると期待してしまう。ところが、郵便局のワンストップサービス構想に読み進むと、その期待が打ち砕かれる。

 証明書交付事務のサービスが絵図入りで大きく示されている。地域住民が郵便局に行き、請求書を用紙に記入し、証明書を受領するサービスだ。郵便局は市町村からファクシミリで書類を受信する仕組みである。これが「IT活用」に焦点をあてた現実的政策らしい。(http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h14/html/E3092000.html)

 ここまで、読み進んできた読者は、公共サービスが電子化へと一気に進むものと思わされている。地方公共団体における申請・届出手続が電子化され、どこでも(「自宅からも出張先からでも申請できる」)、容易に(「インターネット初心者の私でも操作できる」)申請できるシステムの絵が頭に入っているからだ。(http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h14/html/E3055000.html)
 そこに、突然、ファクシミリと窓口で用紙に記載する話だ。頭が混乱しない人はいまい。

 要するに、情報産業振興のために、大型予算をつけ、巨大な情報システムはつくるが、現実には動かさないということだろう。

 この姿勢なら、おそらく、VDSLの普及を目指す委託研究(平成13年度から)は、消極策と見た方がよさそうだ。「わが国に適したVDSL」を開発するとの記載はあるが、目標も期限もない。 (http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h14/html/E3074000.html)
 VDSLは50メガが可能で、ISDNとの干渉も無い。40メガを越えれば、様々な新事業挑戦が生まれる。引込工事難で光ファイバー普及が大幅に遅れているなら、超高速インターネット普及のために至急実用化に動くべきものだ。
 そもそも、マンション用(屋内・短距離・限定ライン)は商用化されており技術的に困難なものではない。[パワーバンドが首都圏・愛知・兵庫で16メガの商用サービスを提供している。NTT西日本も限定的に使用中。(http://info.powerband.jp/vision.htm)] 
 問題は、光ケーブルから引き込み銅線への接続点における権利関係と、好調なADSLとの競合である。このような問題は避けたいのだろう。

 これが「我が国が5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す」e-Japan構想の内実だ。(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/010122honbun.html)

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