---インターネットのインパクト

  セルコンピューティングの時代が始まる。

 2002年12月、NTTデータが、セルコンピューティング(膨大な数のパソコンを繋げて、余っている処理能力を使い、巨大なバーチャルコンピュータを稼動させるグリッド型計算システム)の実験プロジェクト開始を発表した。
(パソコンネットワーク規模は数十万台、インテルがプロセッサ技術、IBMがサーバ(IAとUNIX)とデータベース、United Devicesがミドルウエア、NTT東日本が地域ネットワークインフラ、マイクロソフト(United Devicesと提携)がウエブでのプロモーション、を担当する。)
 利用者は東亞合成(ゲノムパターン分析)とNTT物性科学基礎研究所(フォトニック液晶材料設計)である。(http://www.nttdata.co.jp/release/2002/121900.html)

 United Devicesとの技術提携を梃子に、セルコンピューティングの事業化を狙うプロジェクトといえよう。
(United Devicesは米国のSETI@homeの流れをくみ、大規模分散コンピューティングプロジェクトの実績がある。:2001年4月より140万台が参加しているインテルフィランソロピック・ピア・ツー・ピア・プログラムを推進中)(http://www.nttdata.co.jp/release/2002/042400.html)
 オープン環境での実験ではあるが、企業内にも数多くのパソコンがあるから、成功すれば企業内で同様な使用を始める可能性が高い。

 といっても、NTTデータは、2006年で約300億円との控えめな予測予測だから、本格的に注力するつもりではなさそうだ。

 米国では、すでに、パソコン企業のゲートウエーがProcessingOnDemandサービスを開始している。店頭在庫8000台のパソコンを用いて、14Tflopsの巨大処理能力を発揮させ、外部に時間貸しするというものだ。(http://gateway.com/work/services/pod.shtml)
 次世代の有力技術と見て、様々な取り組みが動きはじめているといえよう。

 といっても、必ずしも薔薇色とも言えない。セルコンピューティングは様々な能力のパソコンを繋げることになるため、能力が低いパソコンを標準として処理しがちで、思ったほど力が発揮できないことが多い。また、セキュリティ確保も簡単ではない。普及には、もう一歩の技術進展が必要と思われる。しかし、そのような問題は解決可能として、見切り発車で商用化が始まるようだ。

 特に有望なのは、医薬/ゲノム、ナノテク/材料、金融といった大量情報処理が不可欠な市場とされている。NTTデータも、この分野での実験を追及している。
 しかし、世界にインパクトを与えるのは、ゲーム領域だろう。ブロードバンドで接続された家庭用ゲーム機器が数千万台あれば、とてつもない処理能力が存在していることになるからだ。
 これをどのように活用するかで、コンピュータの世界は一変するかもしれない。

 すでに、Butterfly.netはIBMのe-businessインフラストラクチャーを用いて、オンラインゲームにグリッドコンピューティング技術を活用し始めている。(http://www.butterfly.net/gamers/index.html)
 従来型オンラインゲームはサーバとクライアント型である。この仕組みはサーバ負担が大きく、大規模にすると費用も膨大な上、トラブルも多発する。ところが、これがセルコンピューティングに変われば、サーバの制約が無くなる。当然、コストは劇的に低下し、千万人規模が参加するゲームも夢ではない。
 これが、どのようなゲームになるかは全く想像がつかないが、人々のライフスタイルを一変させることになるのは間違いない。ゲーム機器業界のリーダーはイノベーティブであるから、セルコンピューティングへの移行期に、過去にとらわれず動けば、世界が一変する可能性がある。

 ゲームで技術が確立されれば、他の分野でも次々とイノベーションが発生するだろう。

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