---アジアの先進国

  インターネット新聞で社会の先進度が見える。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府発足を目前にして、韓国大統領府(青瓦台)記者クラブの制度改革議論が持ちあがっている。記者クラブ制度は日本を見習ったのではないかと思われるが、日本より先に、韓国で改革の動きが始まったようだ。
 2003年1月現在、記者クラブの出入記者数は48社84人だ。5年前に、40社76人から公開範囲を広げたとのことだが、本質的な変化ではなかった。 (日本語機械翻訳版-- http://korea.hanmir.com/ktj.cgi?url=http://www.ohmynews.com/article_view.asp%3fmenu%3ds10300%26no%3d94582%26rel_no%3d1%26back_url%3d)

 現在議論されているのは、外信記者、インターネット新聞記者、経済関係誌記者の取り扱いである。
 なんといっても驚きは、対象のなかに、インターネット新聞社が含まれていることだ。これを、政府がインターネット化促進のために動いている、と語る人が多いが、状況は全く逆だと思う。日本のインターネット普及は官の指導やガイドラインに合わせて民が動くから、韓国の動きも同じだと思いがちだが、どう見ても韓国は民主導である。

 韓国のインターネット新聞「Oh my News」(http://www.ohmynews.com)は、社会影響力の点で、すでにトップランクのメディアである。人口比を考えれば、日本の大手新聞のインターネットサイトの数倍の人がアクセスしていると見なせる。ということは、若い層のほとんどが閲覧している状況と思われる。この状態を、設立(2000年2月に記者が記者学校生徒と共に創設)から2年足らずで実現したのである。
 当たり前だが、政府の支援を受けたり、指導で育った訳ではない。1万人にのぼるといわれるリポーターからの情報(資格があれば誰でも記事を書ける)を活用し、常に新鮮なニュース配信に徹し、専任記者が果敢に活動し続けた結果、タブーを破る掘り下げた独自ネタが増え、期待が集まったのである。政治思想で統一されがちな既存メディアに登場しない、異質記事発表の場が生まれたともいえる。今や、インターネット新聞が掘り起こした問題に、既存メディアが追従している状況まで産まれ始めた。
 といっても、インターネット新聞の主収入源たる広告事業が強固とは言い難い。アクセスが減れば、経営的に行き詰まりかねない綱渡り的運営といえよう。しかし、このことを問題視するのは間違いだ。新しい試みがすぐにでき、新陳代謝を簡単に図れることこそが、インターネットの最大のメリットだからだ。

 一方、日本でアクセス数が多いインターネット新聞とは、既存メディアの「おまけ」か、ポータルにおける既存報道再掲ばかりだ。日本のインターネットメディアが、「Oh my News」レベルに進む兆しは無い。
 そもそも、日本で、インターネット化の指標といえば、ブロードバンド加入者数や光ファイバー敷設といった物理的なものばかりだ。このような指標では、ハコもの作りが進めば普及したことになるが、実質的なインターネット貢献度は全くわからない。本来は、社会変化がわかる指標にすべきなのである。その視点で見直せば、日本の後進性はより鮮明となろう。

 今回の、青瓦台の記者クラブ制度改革にしても、動きの発端は政治家ではないし、市民団体の運動でもない。インターネット新聞社が自らの地位確立のために必死の努力を払ってきた結果である。記者クラブからの取材妨害に対して裁判に訴えるなど、徹底抗戦を貫いてきた。
 2001年には、金大中大統領の単独インタビューを実現するなど、自ら切り拓いてきたのである。

 日本のインターネット普及は、既存制度を維持しながら進める方針だ。新旧間で利害が対立しても、調整で解決を図るから、インターネット化のメリットは活かし切れない。名目だけで、実質がないインターネット化がほとんどと言ってもよい。
 こうした状況に早く変革のメスを入れなければ、日本はIT先進国グループには残れまい。

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