---車IT化の衝撃

  自動車LANの競争(3:マルチメディア)

 ボディ系と制御系のIT化が進む一方、通信/情報機器系統のLAN開発も活発だ。いわゆる、マルチメディア用のシステムである。

 IT技術が発展したため、インターネット経由の外部情報大量入手要求がでてきた上に、取引情報の即時交換も車に不可欠の機能になってきた。そのため、これらを一括して取り扱える、車内の情報通信インフラを構築する流れがおきている。
 しかも、カーオーディオ/TVやカーナビのような単品情報機器をLANにつなげる動きも同時に発生している。
 こうした通信は情報量が極めて大きい。上限が1M程度の「CAN」ではとうてい対応できない。通信線も光ファイバーが圧倒的優位な領域である。従って、規格としては、光ファイバー対応が不可欠となる。その上、社外との通信が視野に入っているから、車だけの閉じた規格という訳にもいかない。
 明らかに、断絶的な技術進歩が要求される。

 といっても、単品情報機器の世界から見れば、なんら難しいことではない。パソコンやビデオで広く使われている規格IEEE1394を登用すればすむからだ。[光ファイバー版IEEE1394bと車拡張版のIDB-1394]
 しかし、車内で情報機器を使うことが目的ではないから、この規格のメリットが活かせるとは限らない。これが、車内の高速LAN規格の難しさである。ボディ系や機械制御系のLANと違って、マルチメディアLANは、何に使うかが、明確でないのだ。パソコンLANのように車情報もネットワーク化する、というだけでは一般論すぎる。規格作りには、具体的な利用イメージが必要なのである。
 IT分野では、利用形態が明確なら、実用的な規格が登場すると、利用がすぐに始まり、標準化作業の前に普及してしまう傾向がある。おそらく、車でも同じことがいえるだろう。

 Philipsが開発した「D2B」[Digital Domestic Bus]がすでに使われ始めている。C&Cは光ファイバーベースの「D2B Optical」を提供しているし、MOST Cooperationは、「D2B」の発展形として「MOST」[Media Oriented System Transport]を開発した。BMW/DaimlerChrysler中心に、オーディオ、カーナビ、PDA等の端末機器間を繋ぐものとして普及促進活動が活発だ。(http://www.mostnet.de/)

 さらに、本格的なITS時代到来を考えれば、ボディ系の「CAN」と繋げる動きが必要となろう。これが、「IDB-C」[ITS Data Bus on CAN]だ。

 IEEE1394を別にすれば、マルチメディアLANでも、欧州勢の底力が発揮されているといえよう。  ・・・ 

   過去記載の
   ・「自動車LANの競争(1:ボディ)」へ (20030122)
   ・「自動車LANの競争(2:制御)」へ (20030123)

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