---ユビキタス世界の到来

  IP無線電話が携帯電話を代替する。

 2003年1月、Motorolaが、IP電話システム開発の雄Avaya、無線広域LAN技術で先を進むProximと共同で、携帯電話+無線LAN+IP電話を統合する仕組みを開発すると発表した。  Motorolaは「Wi-Fi」搭載携帯電話、AvayaはIP電話ソフト、Proximは音声通信対応の無線LANインフラを担当することになる。(http://www.motorola.com/mediacenter/news/detail/0,1958,2271_1854_23,00.html)

 この動きは、携帯電話のコンセプトが大きく変わることを意味する。

 固定電話がIP電話に代替され始めたのと同様、携帯電話をIP無線電話に代替する動きが始まったのである。有線/無線を問わず、電話網は高額な交換機が必要で、配線はピラミッド構造となり、通信回線利用効率は極めて悪い。一方、IP網は回線を全員で共有する分散型ネットワークだ。コストの差は極めて大きく、通話品質とある程度の信頼性が確立すれば、IP網通信の優位性は明白だ。
 しかも、第3世代携帯電話は、2Mbps程度の通信容量しかない。IP無線電話が実現すれば、固定網のISDN同様、お荷物になる可能性が高い。(IEEE 802.11bなら、イーサネットの10BASE-Tとほぼ同レベルの11Mbps)

 IP無線電話型の携帯が登場すれば、1つの端末機器で、企業内ネットワーク、携帯電話網、無線LANのホットスポット、自宅内無線LANのすべてに繋がる仕組みが完成する。何時でも、何処でも、インターネット接続時代が見えてきた。

 この共同開発プロジェクトのターゲットユーザは企業だが、個人から一気に普及する可能性もある。すでに、個人の無線LAN(IEEE 802.11b)が急速に広まっているから、これにを無線電話を繋ぐことが可能になれば、市場は大きく広がる。

 IEEE 802.11は、こうした流れを考えると、今後の要石となる規格といえる。特に、1999年から相互接続認定「Wi-Fi」が浸透し始めており、機器互換性態がほぼ実現されたため、完璧な標準となった。[Wireless Ethernet Compatibility Alliance](http://www.wi-fi.org/OpenSection/index.asp?TID=1)

 ホットスポット提供の動きは、こうした流れの前哨線である。2002年から、米国で動きが急に活発化し初めている。
 すでに、Deutsche Telekomの携帯電話会社T-Mobileがスターバックス等でサービスを提供していることはよく知られているが、(http://www.t-mobile.com/hotspot/) 2002年12月には、AT&T、Intel、IBM、Apax Partners、3i が資本を投下し、全米規模でIEEE802.11の無線ネットワーク企業、Cometa Networksを設立するとの発表があった。様々なサービス事業者へ卸売りビジネスを行う計画である。小売業、ホテル業、大学、不動産業と協力してホットスポット・サービスを進めるという。(http://www.cometanetworks.com/pr.html)
 2003年1月にも、携帯電話通信サービス企業AT&T Wirelessがホテルや空港で無線LANサービスを始めると発表している。(http://www.attwireless.com/business/data/individual/goport/index.jhtml)

 日本でもホットスポットは話題となっている。(NTTグループ企業、Yahoo! BB、MISが提供)
 しかし、PHSの常時接続サービスが存在するため、なかなか普及しないと思われる。(IEEE 802.11bの4チャンネル全部を使った44Mbps通信を生かした、魅力的なアプリケーションが登場すれば別だが。)
 そうなると、もともと携帯電話利用が進んでいない上、携帯電話規格が乱立している米国の方が、ホットスポットさービスのニーズが高い思われる。このインフラを活用した無線LAN電話がいち早く広まる可能性が高い。米国で商品開発している企業が有利といえる。

 ケータイ電話分野では、日本企業の存在感が薄いが、IP化ではさらに遅れをとる可能性もある。

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