---日本のIT戦略

  IXトラフィック急増

 インターネット・サービス・プロバイダー間の相互接続業者JPIX(1997年7月設立 日本最大)のトラフィックが激増している。スター型ネットワーク構成のGigabit Ethernet Switchである。
 2001年6月は2Gbpsだったのが、20ヶ月後の2003年1月には、10倍の20Gbpsに達したそうだ。 (http://www.jpix.co.jp/jp/pressrelease/pdf/traffic20G_reference.pdf)

 ブロードバンド化の進展で、トラフィック量が激増しているようだ。

 日本は米国と違い、このようなインターネットの相互接続点(IX:Internet eXchange)が中心となってトラフィックをさばいているため、インフラ投資の効率性が高い。
[IXは、もともとは、授産学協同のWIDEプロジェクト(代表:村井純教)のNSPIXP(Network Service Provider Internet Exchange Point)が行っていた。]

 理屈からいえば、末端利用者に繋がるインターネット・サービス・プロバイダーは、その上部の地域インターネット網に接続し、各地域網は全国基幹網に接続するという構成になる。国土が広大な米国では、理屈通りの構造になる。
 ところが、日本の場合、インターネット通信量のほとんどは、狭い東京近辺に集中しているから、こうした構造をとる必要がない。インターネット・サービス・プロバイダーは、地域網に接続せず、直接相互接続すればよい。無駄な中継がないから、トラフィック効率は極めて高い。

 この利点を考えると、IXを介したネットワーク構造をさらに進展させることができるかが、日本のブロードバンド化の鍵といえそうだ。

 ブロードバンド時代に突入すれば、トラフィック量増加は必至である。このため、インターネット・サービス・プロバイダーやホスティング業者は、バックボーン網の回線容量増強を図らざるを得ない。
 ところが、加入料金は定額制であるから、加入者が増えない限り、収入は一向に増えない。設備増強コストは増加するが、それに見合った収入増は期待できないのである。ブロードバンド化が進めば、通信インフラを担当する業界は不況業種になりかねない訳だ。実際、米国では過大な供給(バックボーン回線容量)を続け、これに見合う需要(トラフィック量)が生まれず、業界不振が続いている。

 この解決策は、従量制料金体系への移行か、設備効率向上だ。前者はブロードバンド化の普及阻害要因になりかねないから、後者に力をいれるしかない。

 後者の決め手がIXである。プロバイダー同士を直接接続することで、バックボーン回線容量増強投資を抑制しながら、トラフィック量増大に対処できるのである。

 といっても、IX設備増強だけでは、意味がない。物理的な回線接続だけでは、相互通信はできないからだ。
 プロバイダーのルータが、経路情報交換できる仕組み、多者間相互接続契約(Multi-Lateral Peering Agreement)、を取り入れる必要がある。この制度を広げることが重要なのである。この参加者が増えれば増えるほど、日本のインターネット網の効率性は高まる。
[JPIX加入社数は増加しており現在100以上](http://www.jpix.co.jp/jp/user/user.html)

 IXの効用を早くから考えていたという点では、日本の動きは的確だったといえよう。

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