---デジタルメディアの進展

  ペン入力は先の話ではない

 手書き入力用の道具といえばスタイラス(Stylus)ということになっている。素人から見れば、超小型の指し棒のようなものだが、毎日使う人にとっては、ペンのようにこだわりたい文具でもある。そのため、様々なデザインの製品が登場しており、ファッション化しているようだ。(http://www.pdapanache.com/)
 しかし、スタイラスを使う以上、接触を感知する面センサーが不可欠であり、ハード価格は高くなるし、専用の入力装置になってしまう。
 これでは、いくら技術が進歩しても、購入したい人は限られる。

 このため、普段慣れている普通のペンで入力でき、専用コンピュータが不用な技術の登場を待ちわびる人が多い。
 こうした声に応え、今までに様々なアイデアが提起されてきたし、色々な試作品が登場した。といっても、ペンとは名ばかりで、重く上に太くてとても実用にならないものや、どう見ても高価なものばかりだった。正直なところ、どれも、帯に短し襷に流し、といった感じだった。

 ところが、この状態が変わる兆しがでてきた。近距離無線通信のBluetooth技術がこなれてきたためだ。

 このチャンスを生かそうとしているのが、Anato(1999年創設のスエーデン企業)だ。自社技術の標準化を成功裏に進めているようである。
(勿論、競争技術も多い。---Superpen, IBM, Emailpostbox.com, Digital Ink,Inductum AB, OTM Technologies, Digital Convergence等)

 2002年には、Anatoの技術応用製品が2つ登場した。

 1つ目は、スエーデンだ。Vodafoneが、Ericcson製デジタルペンとケータイによる手書き文字通信ができる仕組みを作った。(http://www.ericsson.com/press/archive/2001Q2/20010618-0049.html)

 使われたデジタルペンの構造はシンプルであり、マスプロダクション化がすぐに進みそうな製品といえる。
 ボールペンの先に、赤外LEDのライトをつけ、CMOSセンサでパターンを読みとるだけのものだ。記憶容量は50ページ、読取精度は0.2mmでだ。組み込まれた充電型電池で1日使えるそうだから、一般用途として十分な能力といえよう。送信デバイス(Bluetooth)も組み込むこまれているから、直接ケータイに送ることができる。完成度は極めて高い。(http://www.anoto.com/img/download.gif)

 2つ目は、Logitecのデジタルペンセットだ。小売ベースで199.95米ドルである。当初は米/独/スエーデン/オーストラリアだけだったが、2003年5月にはカナダでの販売も始めた。世界に広めていく体制ができつつあるといえよう。太いので、多少の違和感を覚えるが、障害にはならないと思われる。現時点ではまだ高価だが、構造から見て、100ドル程度にできそうだから、期待が持てる製品である。(http://www.logitechio.com/index.cfm?page=products/features/digitalwritingtopics&CRID=1548&parentCRID=1545&contentID=6433&countryid=19&languageid=1)

 Anatoは、2001年初頭から、主要筆記具メーカー(A.T.Cross、三菱鉛筆、Montblanc、パイロット、Sanford)や事務用品メーカー(コクヨ、Mead、Esselte)を次々とパートナーにして開発を続けている。

 垂直統合型の製品開発ではなく、各業界のリーダーと組むことで、Win-Winの関係構築を目指しているといえよう。このやり方なら、いったん市場が開け始めると、急速に事業が立ちあがる可能性が高い。

過去記載の
   「Tablet PC普及は先の話 」へ (20030504)

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