---ウインドウズの位置付け

  プレイステーション2の変身

 プレイステーション2に搭載されているCPUの価格当りの処理能力を、パソコンやワークステーション用CPUと比べると、パフォーマンスは極めて高い。一つのモデルでの生産量が桁違いに大きいから当然のことである。
 このパフォーマンスを生かせば、格安で高速処理コンピュータを作れる筈、と誰でもが思う。

 しかし、エンタテインメント・ビジネスを追求しているゲーム機メーカーにとっては、科学計算や産業用途のコンピュータ事業は事業ドメイン外のようだ。自社技術を「しゃぶり尽くす」ことで成功を目指す企業が多いなかで、極めて残念だ。
 といっても、Linuxのキットは発売されたから、マニアや研究者が応用開発できる状態になった。

 そして、2003年5月、ようやく、70台のプレイステーション2をネットワークスイッチで繋げたコンピュータの研究成果が公表された。NYTimesによれば、僅か5万ドルで、スーパーコンピュータ並の力が発揮できるという。もっとも、内部バスとメモリからくる制限で、驚くようなパフォーマンスが実現できる訳ではなさそうだが。 (http://www.nytimes.com/2003/05/26/technology/26XSUPE.html)

 こうした動きは、特殊なものに映りがちだが、次世代型クラスターコンピュータへの流れが強まっている、と見た方がよい。

 ジャーナリズムは注目を集めるために、Linux対Windowsの競争の視点からとりあげるが、競争の本質はグリッドやクラスター型の登場でOSの位置付けが変わる点にある。

 分散コンピューティング環境の「ベース」となるOS開発の第一歩が始まった、と考えればわかり易い。
 Windowsは、あくまでも1つのパソコン上のOSである。多数のパソコンを集めて分散処理を行うということは、各パソコンに搭載されているOSの役割は自動的に小さくなる。本当の意味でのOSは、複数のパソコンを統括する「ベース」側に存在するようになる。
 このようなシステムになると、オープンソースの方が様々な技術を投入し易いから、研究開発は早く進む。従って、この流れは、LinuxがWindowsを代替するというより、パソコン用OSが、より上位のOSに支配される動きと見る方が妥当だろう。この流れに乗れそうなのが、Linuxなのである。(http://www.ncsa.uiuc.edu/News/Access/Releases/01Releases/010125.OSCAR.html)

 こうした流れがついに始まったが、動きが本格化するかは、応用開発にかかっているといえよう。

 例えば、とてつもなく高価な大型画面上での3次元の表示装置用コンピュータを、プレイステーション2で代替することができるかもしれない。数十台のプレイステーション2を使うだけで、モックアップ無しの、シュミレーションだけの製品開発が現実化する可能性がある。
 もし実現すれば、モノ作りの産業構造は一気に変わる。

 インターネットのインパクト 目次へ

(C) 1999-2003 RandDManagement.com