---ソフト産業の変貌

  データベースソフトのコモディティ化が始まる
2003.6.21
 Harvard Business Reviewの「IT Doesn't Matter」の議論は面白い。
 データ処理、蓄積、転送といったITのコア機能は誰にでも利用できるようになった。ここまで来れば、電力供給とほぼ同じ状況だ、との意見が紹介されている。(2003年7月 http://harvardbusinessonline.hbsp.harvard.edu/b01/en/files/misc/Web_Letters.pdf)

 データベース・ソフトのような基本機能はコモディティにならざるを得まい、という主張には勢いがある。どうも、ビジネス界が、ソフトに対する姿勢を変え始めたようだ。

 現在のところ、データベース・ソフト市場といえば、Oracle、IBM、Microsoft、Sybaseといったリーダーが支配的地位を維持し続けている。巨大な市場だが、これがコモディティ市場化すれば、産業構造が一気に変わる。もし本当に動きが起これば、地殻大変動と言ってよい。

 といっても、遠い将来の話しではない。動きはすでに始まっている。

 企業の生命線ともいえるERPソフトのリーダーSAPが、従来からのデータベース・ソフト・ベンダーに加え、スエーデンのオープンソフト企業MySQLとも提携したのである。MySQLのトップは「SAPが動く、コモディティのデータベース・ソフトとして認識してもらえた。」と発言した。(http://www.nytimes.com/2003/05/28/technology/28TBRF1.html?ex=1055995200&en=afd9fb6ac32cbe1e&ei=5070)

 おそらく、中小企業向けの次世代ソフト「SAP+MySQL」が開発される。SAPは定番だから、これが安価で、しかも安定して使えることがわかれば、一気に普及が進む可能性が高い。

 MySQLは1995年、フィンランドのM. Widenius氏が開発したものだが、欧州ではすでにかなり使われている。「Yahoo! Finance」にも使われているそうであり、対応OSもUNIX、Linux、Windowsと広いから、定番化するかもしれない。
 特に好評なのは、WWWサーバのバックエンド用データベースだ。最近は、オープンソースのLinux(OS)、Apache(ウエブサーバ)、PHP(サーバーサイドのスクリプト言語)と組み合わせた普及が広がっているようだ。小さくて軽量なため、「軽快な動作」と評価も高いようである。

 といっても、日本ではUNIX専門家がPostgreSQLを使ってきたので、オープンソースのデータベース・ソフト利用は決して新しい動きではない。しかし、一般企業にまで支持が広がっている、とは言い難い。
 ところが、MySQLの方は、どうみても主ターゲットは企業である。既存の企業向けデータベース・ソフトと本格的な競争に入ることを目指していると言ってよい。

 すでに、ウエブサーバはオープンソースのApacheが圧倒的地位を占めているから、MySQLが同様な地位を占めるようになれば、データベース・ソフトのコモディティ化の奔流が始まったと見なせよう。(正確さは期待できないが、2003年7月の調査では圧倒的だ。 http://news.netcraft.com/)

 「SAP+MySQL」をきっかけに、オープンソース系技術者が急増する可能性がでてきた。
 こうなると、サーバ分野での勢力図は急激に変わる。

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