---ソフト産業の変貌

  日本のITサービス業の低迷
2003.7.4
 2003年6月、Gartner Dataquestの世界ITサービス市場のデータが発表された。この調査によれば、2002年の世界市場はマイナス成長だった。そのなかで、伸びたのは、日本とアジア/パシフィック地域だけだった。(http://www4.gartner.com/5_about/press_releases/pr3june2003a.jsp)

 アジアの成長は当然だが、国内経済低調にもかかわらず、日本市場が伸びたのである。

 といっても、図に示すように、日本の市場規模は小さく、世界の12%に過ぎない。経済の大きさから考えると、驚く数字である。北米市場のシェアが5割弱、西欧市場の約3割と比較すれば、日本が如何に消極的かがわかる。急成長を続けている、アジア/パシフィック市場でさえ、すでに日本の半分近くの規模にまで伸張してきた状態である。

 日本の姿勢は変わるだろうか。

 これから、企業のIT化が一気に進むと見る向きもある。
 2002年の日本市場の成長は、遅れていたIT化がようやく始まった兆し、と好意的に見る訳だ。
 一方、実態は悪化一途と考える人もいる。好調に見えるのは、政府を中心とする調達のお蔭で、企業もIT化を進めてはいるが、消極姿勢が続いている、と主張する。

 どちらの兆候もある、というのが正解のようだ。日本は2極化しているのである。

 経営陣が危機感を抱いている企業は、IT化を進めないと生き残れない、と考えており、可能な限り投資する覚悟だ。
 一方、それ以外の企業は、今まで通りで、業界を眺めながら動くつもりだ。基本的に消極派といえる。

 不思議なのは、外部から見て、問題がありそうな企業の多くが、前者に当てはまらない点だ。「社員一丸になって頑張ることで危機打開を図る。」と語るばかりで、ITを利用して競争力強化することなど思いもよらないようだ。現在のITインフラは手直しだけに留め、IT予算はできる限り抑制したいのだ。

 確かに、このような企業では、IT予算を増やしてもなんの効果もない。企業全体の運営システムが、ヒトで回っていて、ITを武器にして動くことができない。風土を一気に変えようにも、社内人材は枯渇している。外部の血を入れることはタブーだ。
 要するに、八方ふさがりで、「どうにもならないから、まあ頑張りましょう。」というのが、トップの本音なのである。

 日本の問題は、こうした将来性に乏しい企業を救おうとする勢力が多いことだ。
 そのため、どうしようもないと見られていた弱者が、突如、援助を糧に動き出すことになる。しかし、すでに物真似以外できない体質になっているから、安売りに走るしかない。

 積極経営を進めている企業にとっては、これでは、たまったものではない。競争力向上を図った果敢なIT投資は、期待したリターンが全く得られない。・・・といった状況がありえる。
 新興産業分野以外、かならずこのような破綻企業候補がいる。従って、積極論者も、IT投資を抑えざるを得ない。

 この状態が続く限り、日本の企業向けITサービス産業は伸びる筈がない。

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