---Linux時代の幕開け

  Linux家電の登場
2003.11.11
 Motorolaがケータイに「Java+Linux」を組み込むと発表したのが、2003年2月のことだ。
 10月31日には、この製品(ケータイ+PDA+MP3プレーヤー)を中国で発売することになった。
       (http://www.motorola.com/mediacenter/news/detail/0,1958,2349_1920_23,00.html http://www.motorola.com/mediacenter/news/detail/0,,3466_2874_23,00.html)
  ↑ カット http://www.nagai.net/icon-kan/peng02/penfood.html

 NECも第3世代携帯電話機のOSはLinux中心であると表明している。
  (http://ne.nikkeibp.co.jp/mobile/2003/05/1000018449.html)
 ついに、Linuxが組込み機器で使える完成度に達したことが証明されたといえよう。これにより、Linuxが一般市場に大量に入ってくる道が開けたといえよう。

 しかも、この製品はケータイだが、従来の製品区分で言えば、通信/コンピュータ/オーディオの3分野融合商品でもある。(通信バージョンのOSだが、同じOSで稼動するソフトなら、転用可能と思われる。)

 第3世代ケータイの通信容量は十分大きいから、これがきっかけとなって、ケータイと繋がる家電製品が次々と登場する可能性もある。接続が面倒なため、家電製品のネットワーク化は遅々として進んでいないが、状況は一変するかもしれない。コード一本か無線で(メモリーカード渡しでもよいが)、ケータイから家電製品に情報コンテンツが送れるようになれば、家電製品はすぐにネットワーク機器化するからだ。

 ここまで来ると、流石に、日本の家電メーカーも本気で動き始める。
 7月に、家電用OS(Linux Consumer Electronics Edition)の標準化を進めるための組織、「CE Linux Forum」を設立したのである。
  (http://www.celinuxforum.org/)
 [LinuxベンダーのMontaVista Softwareにはソニー、松下電器産業、Toshiba Americaが出資している。]
  (http://www.mvista.com/news/2003/ces.html)

 「家電製品のネットワーク化を目指す」とのスローガンが現実性を帯びてきたようだ。

 そもそも、家電業界のネットワークコンセプトは曖昧だった。(OSや通信プロトコル標準は不明)にもかかわらず、ネットワーク化に励んできたのである。
 なかには、MDネットワークという、狭いコンセプトを売り込む企業もあった。日本発OSのTRONこそ、家電の本命であると熱心に語る人もいた。
 様々な取り組みはあったが、所詮は、どの企業も自社製品だけの閉じたシステムしか頭になかった。電線で繋げたアクセサリーセットに過ぎないのものを、ネットワーク製品と称していたと言える。
 (例えば、電話で風呂を沸かす装置など昔からある。これを「ネットワーク」商品と呼びかえたようなものだ。)

 本気でネットワーク化を考えるなら、要石はOSである。ソフトを動かすためのプラットフォームが決まらない限り、互いに同調した動きなど取れる筈がない。
 まずは、OSを決めることが出発点である。

 それでは、どの様なOSを選ぶべきか。

 家電に使うのだから、OSの安定性/信頼性は不可欠である。しかも、ネットワーク化するのだから、OSをサポートする周辺のハード/ソフトが揃っている必要がある。

 安定性から言えばMS-DOSである。この技術をベースとするならWindowsを選ぶことになろう。同様に安定しているのがUNIXのカーネルといえよう。複雑なネットワーク上では、他のOSの堅牢性はよく分からない、というのが実情だろう。
 一方、ネットワーク化のサポートからいえば、UNIX系には力量がある。もともと通信を重視して来たため、豊富な技術蓄積があるからだ。次ぎが、膨大な数のエンジニアが参加しているWindows系ということになる。
 従って、家電ネットワーク用OSの候補は、WindowsかUNIXのカーネルをベースとしたリアルタイムOSだけだ。
 (UNIX系カーネルなら、Linuxを選ぶことになろう。)

 例えば、TRONが家電品に広く使われているといっても、分野が違う。ネットワーク接続サポートの必要も無い、小さなプログラムが対象だ。(お蔭で処理スピードは圧倒的に速い。)いくらTRONが普及していても、このようなOSを大きく発展させようとの方針には無理がある。

 このことがわかっているにもかかわらず、日本の家電企業は決断を先送りしてきた。
 MicrosoftのOSを使えば収益性に疑問がわくし、日本はUNIX分野では後進国なので、どちらにも対応しかねていたと言える。

 OSで力を発揮できないのなら、OSが武器にならないよう、早くから「戦略的に」仕掛けるしかない。ところが、全く動こうとしなかった。OSを、儲からないコモディティ・プラットフォームにする知恵が湧かなかったのだろう。

 このような問題先送りのツケは必ず巡ってくる。飛躍のチャンスを逃しただけでは終わらないかもしれない。
 家電企業が生き残るためには、Linuxに強いコンピュータ/ネットワーク企業を呼び込むしかあるまい。その結果、業界入り乱れた熾烈な戦いが始まるだろう。・・・誰が勝者になるか想像もつかない。

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