---Linux時代の幕開け   

  普及の可能性 2: 次世代サーバに向けて
2003.12.18
 Linuxの将来を考えるなら、イデオロギーの正当性を語るより、現実を見て、メリットをはっきり示すことから出発すべきだと思う。
  → 「1: 先ずは脱イデオロギー」

 現時点で、Linuxが主に使われている領域ははっきりしている。無償のLinux上で無償のウエブサーバソフトApacheを稼動させるタイプである。

 ここでは、商用UNIXと競争していると言ってよいだろう。
 商用UNIXは、ベンダーがコンピュータ・ハードメーカーであり、ベンダー開発のCPUでしか動かない。このようなハードは高価である。
 一方、Linuxは安価なハードでも走る。とても勝負にならない。一度、Linux-Apacheを使うと、要求が高度になっても、商用UNIXへの転換を図らず、ハードだけを高性能化することが多い。Linuxはメインフレームから、パソコンまでほとんどのCPUに対応しており、若干の対応で移植できるからである。

 しかし、それほど高度な仕様が必要でない場合は、Windowsもよく使われている。もともと、他のサーバで利用しているから、ウエブサーバもWindowsになったと思われる。
 収益好調な企業なら、無償のLinuxと無償のサーバソフトというだけでは、ほとんどメリットにならない。ハードのコストは同じだから、複数のOSを管理したくないのである。慣れ親しんでいるOSなら、既存人材でも対処できるが、新たにLinuxを学ぶコストや、新規人材登用を図れば、そのコストは小さくないから、当然である。

 この状況を見ると、Linuxは、メインフレームやワークステーションといった高度な処理を要求される、高額なハードを用いている分野に浸透し易いと言えそうだ。
 ハードが高価なので相対的にはOSが無償という意味は薄れる。しかし、どのCPUでも稼動するから、Linuxの基本スキルがすべての領域で生きてくる。システムすべてをLinuxで対処できる可能性があるということだ。
 こうなると、システム構築は極めて楽になるし、構築した情報資産の移植も簡単になる。柔軟な構造になるから、構築費用もメインテナンス費用も削減可能だ。

 まだ理想論に近い部分も多いが、こうした時代が迫っているのは間違いあるまい。

IBM の eServer 製品ライン
ハード 独自OS 名称
IAサーバー
(インテル構造CPU)
OS/2 xSeries
UNIXサーバー
(RS/6000)
AIX pSeries
統合アプリケーション・サーバー
(AS/400)
OS/400 iSeries
エンタープライズ・サーバー
(システム390)
z/OS
(旧MVS)
zSeries
 実際、LinuxのプロモーターであるIBMを見ると、メインフレーム時代からの方針、R(Reliability)A(Availability)S(Serviceability)を堅実に守りながら、すべての製品ラインでLinux化を終えている。
 (尚、メインフレームでは、ディスクの別パーティションでLinuxを立ち上げる仕組みである。既存OSを代替する訳ではない。)
  (http://www-6.ibm.com/jp/linux/hardware/)
 顧客の要望があれば、どのハードでもLinuxを提供できる仕組みを立ち上げたのである。
 メインフレームと共存できる仕組みを構築することで、顧客が保有しているIT資産を維持する姿勢を示したといえる。
 アプリケーションを構築すれば、どのハードでも稼動できる体制を準備している訳だ。これが、IBMの「eServer」構想といえよう。
 つまり、IBMは、Linuxを世界共通のインフラ化させ、Linux上で動く自社独自のミドルウエア群で勝負をする戦略に出た訳だ。

 こうした流れは加速化されている。さらに先のハードが見えてきたからだ。

 クラスター・コンピューティングである。安価なパソコンをクラスター化するだけで、高性能化が可能であり、ハードの価格は益々下がる。
 各社独自OSのメインフレーム時代から、UNIXベースの独自サーバとWindowsパソコン時代に移ってきたが、さらに、Linuxのクラスター型コンピュータ時代が到来すると予想される訳だ。
 この変化が激動を呼ぶのは間違いない。
 誤解を恐れず、価格の感覚でその衝撃度をを示せば、メインフレームのシステムは3億円、サーバのシステムが3,000万円、クラスターなら300万円ということになろう。

 実際、2003年12月には、HP Integrity rx5670を用いたクラスター型コンピューイングが圧倒的な処理能力を示した。OSはRed Hat Enterprise Linux AS 3.0で、Oracle Database 10gを用いた結果である。
 すでに実用領域に入り始めたことを示すといえそうだ。
  (http://www.oracle.com/corporate/press/index.html?2651475.html)

 こうした状況を見ると、Linuxは高度なサーバや、クラスター型コンピューイング用の主流OSとして浸透していく可能性が高い。

 インターネットのインパクト 目次へ

(C) 1999-2003 RandDManagement.com