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---日本のIT戦略   

   ADSLの果たす役割
2004.3.29
DSLサービス提供数推移(1)
2000年 6月 1,235
2001年 1月 16,194
2001年 4月 112,182
2001年11月 1,204,564
2003年12月 10,272,052
 2004年に入り、日本国内でのADSL加入者純増が鈍ってきた。
 と言っても、すでに1000万を越えた。
 日本は、今や、中国に続く、世界2位のブロードバンド大国なのである。

 ここ3年ほどは、文字通り桁違いの成長が続いた。驚異的スピードである。
 NTT回線開放の機を逃さず、「Yahoo! BB」が格安料金サービスを提供したことで、一斉に低価格サービス競争が始まり、一気に市場が創出されたのである。

 現時点でも、「Yahoo! BB」でインターネットに接続すると、月額2,998円ですむ。これだけでも十分安価だが、キャンペーン価格になると、なんと1,665円だ。(2)
 これで採算性に乗るか、疑問を覚えるほどの、超破格値である。
 ここまで踏みきれば、急速普及も当然かもしれない。

 この現象を、ブロードバンド化の急進展と喜ぶ人が多いが、長期的に見るとプラスになるとは限らない。

 第一の問題は、インターネット・インフラを担う企業の経営基盤弱体化懸念である。
 もちろん、体力が無く、他の収益源を欠く、アクセスサービスだけの小規模インターネット・プロバイダーは撤退に追い込まれる。
 と言って、ADSLが数社で寡占化されたからといって、経営状況が磐石になるとは言い難い。この先も安定して、インフラ維持ができるか、心配である。

 第二の問題は、電話利用の急速な衰退現象がもたらす、電話インフラの不安定化である。
 IP電話普及で、電話収入は減少一途だ。しかも、巨額のISDNインフラ設備を抱えたままだから、料金大幅値上げでもしない限り、電話事業は苦しくなる。
 今のままなら、全国一律型サービス維持が困難になる日は近い。
 もっとも、この問題は不可避なのは、もともとわかっていたことだ。ナローバンドISDNインフラを捨てる政治的決断だけの話しともいえる。

 第三の問題は、光ケーブル導入が大幅に遅れる可能性である。

 ブロードバンドの本命はあくまでも、光ケーブルである。各家庭に、光ケーブルを引き込むことで、デジタル時代のインフラが完成することになる。
 従って、ADSLは、それまでの「つなぎ」と考えられてきた。
 2〜3段階でブロードバンド化が進むというシナリオである。
 1 現行の電話線を使い、先ずはとりあえずADSLを入れる。
 2 次ぎに、近くまで敷設された光ケーブルに電話の最終架線を繋ぐVDSLを導入する。
   (この段階はカットしてもかまわない。)
 3 最終的に、光ケーブルを直接末端まで繋げる。(FTTH)
 しかし、このシナリオは破綻しかかっているのだ。

 ナローバンドのISDNインフラを捨てることが難しいのと同様に、ブロードバンドのADSLも捨てることも難しいからだ。
 低価格でADSLを普及させたから、低収益で投資回収を図ることになる。つまり、投資回収には長期間を要するのだ。当然ながら、「つなぎ」としての役割は放棄せざるを得まい。
 サービス料の大幅値上げに踏みきらない限り、ADSLを長期に渡って使ってもらうことになる。

 ADSLが本命になってしまったお蔭で、光ケーブル普及は抑制されるのは間違いあるまい。

 --- 参照 ---
(1) http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/whatsnew/dsl/
(2) http://bbpromo.yahoo.co.jp/promotion/campaign/8ms/
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