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---日本のIT戦略   

   安価サービスで市場は変わるか
2004.5.21
 インターネット接続料金の安値競争が未だに続いている。日本最安値と称するサービスでは、ADSL月額料金が698円である。モデムレンタル料金525円とNTT回線使用量173円だけで、通常のサービス料金1,659円を12ヶ月間無料にするという。(1)
 これでペイするのだろうか。信じ難いような大幅ディスカウントだ。

 このような安値競争が引き起こされたお蔭で、短期間でADSLが普及したのは間違いない。
 しかし、この現象を、素直には喜べない。黒字化がはっきりしないインフラサービスは安定性を欠くからである。資金繰りがつかなくなれば、サービスが中断してもおかしくないのである。
 従って、資金的安定性を欠く業者の淘汰過程とも言えないこともないが、行き過ぎの感が強い。

 しかも、安値化だけでなく、通信容量増大投資が続いている。
 通信容量がメガを超えれば、64キロの容量ではできなかった利用方法が可能になる。その点では、ブロードバンド化はありがたい。しかし、一旦、メガを超えれば、現状では、通信容量が大きくなっても、利用方法はたいして変わらない。多少のスピード感はあるとはいえ、家庭での利用に際して「嬉しさ」を実感するようなものでは無いと思う。

 しかし、大容量化の流れは急なのである。同じ料金なら、利用者は大容量タイプを選びがちなので、競争に負けないため、サービス業者は、大容量化せざるを得ない訳だ。厳しい競争である。

 ところが、ブロードバンドの魅力的な利用方法は、IP電話以外はさっぱり登場しない。せっかく熾烈な競争で、ブロードバンドが普及しても、これでは宝の持ち腐れである。大容量回線を利用する家庭向けサービスの促進が、問われている。

 さらに気にかかるのが、非家庭領域でのブロードバンド普及である。ブロードバンドの急速な普及はあくまでも家庭の話しであり、ビジネスの方には広がっていないようだ。特に、中小企業に、インターネット・インフラを活用しようとの気概が生まれていないことが問題だ。
 家庭にブロードバンドが普及したなら、これを使うことで収益を上げるビジネス創出や、業務革新のチャンス到来、と思うのだが、動きは鈍い。

 この理由は、家庭用サービスの超安価と比較すると、ビジネス用の価格が高止まりしている点があげられよう。

 とはいえ、レンタルサーバー・サービスの超安値競争が始まったから、変わるかもしれない。

 例えば、業界最安値の宣伝を見ると驚く。ドメイン料金(レジストラはeNom)が808円。レンタルサーバー料金が3,150円だ。これが、月額ではなく、年額というから驚いた。月に直せば、なんと330円だ。(2)誰が見ても衝撃的価格である。
 ここまで来て、企業が使わないとしたら、どこかおかしい。

 さらに驚かされるのが、このベンチャー(3)を支えている同業の上場企業が存在する点だ。会社概要を見ると、2004年2月に2部上場した企業名が記載されている。

 実は、この上場企業(4)は、全く同じ内容のビジネスを行っているのである。

 両者が、どの程度違うか見てみよう。
 ビジネス向けサービス(ディスク容量20MB、SSI対応でCGI使用可能 現在はアクセスログ集計サービス付)は月額7,875円である。(5)
 今では、そう安価でもないし、珍しくないサービスだ。しかし、一昔前は、安心で面倒な手続きを代行してくれ、人気が高かったサービスである。かつては、リーズナブルな価格が少なかったため、大勢の顧客から支持されたのである。
 ところが、その後、有力企業が、より安価サービスを提供し始めた。
 当然ながら、このベンチャーも安価版レンタルサーバー・サービス(ディスク容量50MB、メールアカウント5付で月額4,410円)も展開し始めた。(6)

 しかし、とても、月額330円と比較できるレベルではない。
 ドメイン取得料金やレンタルサーバーの初期設定費用で収益を得ることができるとはいえ、月額3,000円が安値の限度だと思う。この限界を突き破る挑戦が始まったのである。

 このビジネスモデルが成功するということは、社会が大きく変わることと同義だと思う。
 インフラは、安定性を多少犠牲にしても、新しいものを次々と取り入れ、新ビジネスを創出し易い形態が基本となるからだ。

 --- 参照 ---
(1) http://www.megaegg.jp/adsl/service1.html
(2) http://muumuu-domain.com/
(3) http://paperboy.co.jp/
(4) http://www.gmo.jp/
(5) http://office.interq.or.jp/service/index.html
(6) http://onamae.com/domain/price/
  http://www.rensaba.com/index.html
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