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---インターネットのインパクト   

   IP電話が産業構造を変える。
2004.6.8
 2004年5月24日Lucent Technologies がソフトスイッチメーカーのTelica を買収する、と発表した。(1)

 通信機器業界がITバブルの後遺症から立ち直りつつある象徴といえそうだ。
 又、IP電話化の流れが本格化してきたことを示しているともいえよう。

 といっても、従来型電話回線が一気にIP電話化(VoIP)することはない。
 IPネットワーク上で電話を走らせれば圧倒的な低コスト化になるから、長期的にみてこの転換は必至ではあるが、高額な設備を一度に更新する訳にはいかないからである。しかし、転換に失敗すれば、没落しかねないから、既存の電話ネットワークを維持しながら、できる限り早くIP電話(VoIP)を導入するしかない。従って、この要となるソフトスイッチ市場が急成長するのは間違いあるまい。
 北米の通信サービス企業MCI やSprint がこの動きを牽引することになりそうである。(2)

 一方、ブロードバンドIP電話も急成長することになる。こちらは、すでに構築済みのインターネット網上での音声通信サービスである。インターネット・サービス・プロバイダーの付属サービスにも見えるが、電話企業のサービス収入の移転でもあるから、極めて重要なビジネスといえる。
 といっても、このサービスは一般消費者中心であるから、市場としてはそう大きなものではなさそうだ。(3)

 有線電話だけではなく、無線でもIP電話化は進む。
  → 「IP無線電話が携帯電話を代替する。 」 (2003年2月9日)

 ケータイの料金は高いから、こちらのインパクトは大きい。戦略を間違えれば、現在の高収益企業もどうなるかわからない。
 というのは、2003年時点で、無線LAN加入者は年間30ドル支払っているのが、2008年には3ドルになるとの予想さえあるからだ。世界中に「WiFi」が普及すれば、ケータイの仕様は一変する訳だ。(4)

 つまり、携帯電話とWiFiが統合されてモバイルIP電話化される訳だ。VoWiFi電話端末、無線LANスイッチ、IP化交換機(PBX)を揃えるだけでよいのだ。こちらは、一般消費者と企業ユーザーの両方をカバーすることになるから、一気にインターネット環境が変わるかもしれない。

 こうした動きを見ていると、まだ、誰が主導するのかはっきりしない。先頭を走る企業がかならずしも優位とはいえないが、遅れれば確実にビジネスチャンスを失う。
 おそらく、優れた構想力を持つ企業が勝利することになろう。

 というのは、既存インフラをどのように生かすかで、仕組みが違うからである。

 例えば、企業構内であれば、有線電話機をIP対応電話機に変えれば、電話線を廃止して全社LANに統合することができる。電話網の極めて面倒なメインテナンスは一切不要になる。
 一方で、電話網を残したまま構内交換機(PBX)から先だけをIP化する方法もある。既存の電話機を温存する訳だ。
 長期的に見れば、全IP化に進むだろうが、転換投資が嵩むから、すぐに動けない。しかし、ハードはすぐに安価になるから、投資額が少なくてすむようになれば一気に変化が発生する。このタイミング判断が難しい。
 従って、新世代の設備更新のリーダーシップを発揮する仕掛をつくった企業が飛躍する可能性が高い。

 ところが、この仕掛は簡単ではない。業種が入り乱れた競争が発生するからだ。ネットワーク機器のハードメーカー、通信網インフラ提供公益企業、インターネット接続サービスプロバイダ、コンピュータソフト企業、のどこが主導するかははっきりしていないのである。

 その原因は、今後、電話は、どこからどのようにして収益をあげるか、はっきりしないからだ。従来型電話とは違うのである。

 電話機がLAN の端末化すれば、単純なハードだからすぐに安価なコモディティ商品になるだろう。一方、通信インフラは電話網ではなく、IPのデータ網だから、それ自体で収益が上がるとも思えない。そうなると、利益の源泉はソフトになる可能性が高い。
 つまり、電話のIP化で得られる「嬉しさ」を提供できる企業に飛躍のチャンスが巡ってくると言えそうだ。

 IP電話の世界にも、マイクロソフトのようなソフトの巨人が登場してもおかしくないのである。パソコンのチャットと、IP電話は同じと言えなくもないからだ。
 と言うより、P2Pの新興勢力が一世風靡するかもしれない。
 実際、Skype のソフトのダウンロード数は2004年4月に1,000万を越えた。すでに、モバイル通信企業の支援もあり、人気急上昇中である。(5)
 動きは速い。

 --- 参照 ---
(1) http://www.telica.com/news/press-releases.asp?display=detail&id=12
(2) http://www.instat.com/press.asp?ID=909&sku=IN0401440CT
(3) http://www.instat.com/press.asp?Sku=IN0401336TX&ID=980
(4) http://www.pyr.com/info/press/release_030721.asp
(5) http://www.skype.com/

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