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---日本のIT戦略   

   電子政府に対する最大の抵抗勢力とは
2004.7.20
 電子政府・電子自治体の基盤とのふれ込みで始まった住基カードだが、毎日新聞の調査によれば、2004年3月末時点での発行枚数は約25万枚で、普及率は0.198%だという。(1)
 1,000枚を切る県もある。(3月末の数字でないため低い数字の県もある。山形、富山、山梨、鳥取、徳島、高知) 最少は418枚だ。誰が見ても、実稼動というより、試験運転中と言うべきレベルだ。

 利用者には何のメリットもなさそうな仕組みの割には、良い数字が出ていると思う。
 (当初の計画では、初年度の2003年度は300万枚、その後毎年500万枚である。)

 プライバシーやセキュリティ問題で大騒ぎになったため、システム内容が余り報道されず、電子政府作りの一環のシステムと考えていたが、どうも全く違うようだ。
  → 「理解し難い住基ネット論議」 (2002年9月1日)

 このシステムは、「住民票」という紙の書類を印刷して手渡すための大掛かりな仕組み以上のものではない。

 そもそも、もよりの自治体での「住民票」交付は、今まで通り、各自治体が運営していた住基システムが使われる。全国ネットとは、データ更新の同期をとるに仕組みに過ぎない。
 しかし 個人コードがついたから、誰でもが、これで合理的な対応が進むと考えがちである。

 ところが、どうもそのようなものではない。

 データベースには、在住外国人が含まれていないという。これでは、「住民票」以外に使い道はなさそうだ。
 しかも、各自治体は独自のシステムをつくっているから、特殊な「人名漢字」は汎用コード化されていない。つまり、個人コードを使わない限り、このデータを活用することは難しいのである。
 つまり、背番号制にも使えない代物なのだ。
 公式文書に使う文字の標準コード化方針無しの統合システム構築など、金と時間の無駄である。新たにシステムをゼロから構築する方がましだと思う。

 こんな仕組みを稼動させれば、公式文書の電子化には逆効果になりかねまい。

 と言うより、おそらく、政府の電子化を進めたくなかったのだと思われる。(*)
  → 「さっぱり進まぬ電子政府化」 (2004年4月19日)

 といっても、56,000にも達する文字の標準化作業であるから、当事者(情報処理学会 情報規格調査会 文字情報データベース専門委員会(2)、国立国語研究所、日本規格協会)からすれば、見方は違うかもしれない。しかし、規格の元締めが、独自の規格を許すのだから、その役割を放棄したと言わざるを得まい。

 現時点の対応策を見ても、切迫感は感じられない。(「汎用電子情報交換環境整備プログラム」(3))
 どう見ても実証実験段階だ。ネットワークを介してアウトラインフォントの配信が可能な「フォントサーバ」を構築するというものである。2005年に世界に冠たる電子政府化、などと言うタイムラインとは無縁の世界である。

 こうした活動状況を見れば、電子政府化を急ぐ気など無いことがよくわかる。

 このことは、電子政府化を目指し、今後も無駄なハコもの作りを何回も繰り返すことを意味する。日本の政治体質を如実に示したと言えそうだ。

 --- 参照 ---
(1) http://www.mainichi-msn.co.jp/it/network/news/20040705org00m300057000c.html
(2) http://www.itscj.ipsj.or.jp/senmon/02sen/moji.html
(3) http://www.est.co.jp/jp/network/index.html

(*) 住基は政府用の現住所探索システムと見た方がよさそうだ。
  目的ははっきりしないが、どこに移ろうが捕捉可能な仕組みを作ったのである。
  高度な検索方法のソフトが装備されている可能性が高い。

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