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---「e-ビジネス」の時代   

   日本のICタグ浸透は遅れる…
2004.9.28
 米国陸軍のロジスティクス部門は、ICタグ導入で、飛躍的な効率向上を実現したようだ。イラク戦争で消費される、膨大な量の物資の配送のコンピュータ管理ができるようになったという。(1)

 2003年3月〜2004年4月というたった1年で、状況は劇的に変わったようである。

 物資置き場の使用前と使用後の写真には驚かされる。山のように乱雑に置かれていた輸送待ちの荷物が全く無くなったのである。個々の荷物の状況をトレースでき、荷物をどう扱うべきかがわかれば、即時処理できる。システムを構築すれば、当然の結果ではある。しかし、イラクのようなインフラ不備の地域へ配送する拠点で、こんなことが短期間に実現できるのだから驚きである。

 このシステムは「Product Manager for the Automatic Identification Technology (PM AIT)」と呼ばれている。
 これで、物流のボトルネックはほぼなくなった、と見てよさそうだ。

 当然のことだが、ここまでできることが実証されれば、スーパーマーケットの商品の物流に同じようなシステムが入るのは時間の問題である。納入状況のチェックに使われる膨大な時間、非効率な荷分け作業、滞留する物流在庫、等を削減できることは間違いないから、タグ価格が5円になる前に一気に動くと思われる。

 「Retail Technology Summit Tokyo 2004」(2004年9月10日)で、Wal-Martの国際RFID戦略担当マネジャーは、2006年の4月には、5セントが実現するとの予測を述べている。(2)
 そして、Wal-Martは、その前に先行してICタグ化を進めるそうだ。
 先行者の競争力向上につながる公算が大きいのだから当然の姿勢だと思う。

 とはいえ、これは米国の話である。
 日本の小売業界に当てはまるとは思えない。

 日本の業界は、業態業容が錯綜している上、多数乱立状態である。マクロでは生産性は低いのだが、現実には極めて高度なサービスを提供している。つまり、ミクロでは個別最適な「効率的」な仕組みが作られている。
 ところが、ICタグ化は、このような仕組みを否定しかねない。そうなると、業界変革無しのICタグ全面導入は無理筋と言えよう。業界変革を進めるつもりがないなら、ICタグ価格が5円を切ったところで、浸透する筈がないのである。
 使われるとすれば、部分最適化されているシステムの一部になる。おそらく、効率化というより、高付加価値用途になろう。

 しかし、そう考えない人は多いようだ。政府の補助金で、様々な試行をすれば、市場開拓の一歩を踏み出せると勘違いしているように見える。

 一般に、間違ったターゲットで試行すると、逆効果なりかねないことを知らないのかもしれない。

 この仕組みを入れたくない勢力にとってみれば、「試行」とは、何をすればICタグが入りにくくなるのか教えてくれるものでもある。

 --- 参照 ---
(1) http://www.rfidjournal.com/article/articleview/1061/1/1/
(2) http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0409/10/news055.html

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