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2005.1.12
 
 


PDAは残るか…

 携帯電話とモバイルパソコンの進化によって、PDAの影は急速に薄くなってしまった。
 とはいえ、2004年の世界の出荷台数予想は前年比4%増の1,190万台で、まだ大きな市場ではある。(1)
 ただ、第3四半期に、標準の地位にあるPalm OS のシェアが3割を切り、シャープとソニーが米国PDA市場から撤退するなど、地殻変動が発生している。

 要するに、Palm OS が携帯搭載化の道を歩んだことで、PDAはパソコンと携帯電話の中間製品というイメージができあがりつつあるのだろう。
 (ギアマニアのなかには、携帯ゲーム機でPDAを代替できると語る人もおり、中途半端な印象がでてきたのは間違いないようだ。)

 高機能化すれば、パソコンとどこが違うのかと批判され、単純簡素化すれば、携帯で十分ではないかと揶揄され始めたのである。
 進化し続ける両者に挟まれて、独自の価値を打ち出すのが苦しくなりつつあるのだ。

 実際、B5より若干小さく、重さは1kgを切り、電池持続時間が9時間の、10.4型液晶搭載パソコン(2)は売れ行き好調だという。
 さらには、幅167mm×高さ108mm×奥行26.4mmのパソコン(3)も登場した。ほとんど本の大きさである。

 ここまで来ると、本格的モバイルならPDAとは言えなくなる。PDAのウリは、パソコンより大幅に安いという点だけかもしれないという気になる。

 一方、携帯電話の機能も格段に向上している。
 2004年12月に発売された「舶来」モデルでは、2.1インチ液晶で、アイコン表示で操作するようになっている。ウエブやメール閲覧はもちろんのこと、PDAのウリだったパソコンのPIMデータとの連携もとれるようになった。(4)
 ケータイ特有の価格とはいえ、これが9,300円で入手できるのだ。(5)

 PHSでは、2.2インチ(240×320画素)画面で、フルブラウザ「Opera」搭載モデルが販売中だ。もちろん、JavaScript、SSLやCookieにも対応している。驚くことに、USB 接続可能である。(6)

 ハードディスクも1インチを切ったから、MPフォンやTVフォンといったAV機能搭載ケータイの普及も時間の問題になってきた。

 こんな流れを見ていると、かつてのワープロとパソコンの関係を彷彿させる。

 “誰でもがすぐに使える”安価なワープロが消える筈はないと豪語していたワープロ担当者もいたのだが、流れは止まらなかった。
 パソコンが不要ならいざ知らず、パソコンとワープロの両方を所有するのは無駄と見なされれば、ワープロが消え去るのは当然の流れだと思う。

 同じように、携帯電話とモバイルパソコンが必需品なら、わざわざPDAまで買い揃える必要はあるまい、と考えるのは自然な反応という気になる。
 そもそも、通信機能が無いPDAなど、マニア用途としか思えない。消えて当然の商品だと思う。

 しかし、原点に戻ってPDAを考えると、高価でなければ、ビジネスマンにとっては十分価値があるのではないだろうか。
 と言うより、正直に言えば、ポケットに入る、安価で簡便なインターネット接続機器が欲しいのである。

 勝手に個人的要望をまとめてみよう。
 (もっとも、価格を別にすれば、応える製品は存在するのだが。(7))

 先ずは画面だ。縦横表示変換が可能なVGA(480×640画素)の小さな液晶が不可欠である。これができないと、読みづらくて、ビジネスに使う気にはなれない。
 次が、無線LANだ。これも不可欠である。(IP国際通話可能)
 そして、稼動時間が10時間程度で、予備バッテリーとの交換が可能であること。

 もっとも、これでは超小型パソコンと何が違うのか、との声がかかろう。

 しかし、安価なCPU、シンプルなOS、簡便な入力手段、を備えたインターネット機器と見るなら、独自のセグメントと見ることもできよう。
 問題は、このセグメントに対するニーズが本物か、という点だろう。これで、PDAが生き延びれるかが決まるのではないかと思う。

 安くて簡便なら、ビジネスマンは、無理をしてモバイルパソコンを持ち運ばなくなるのではないだろうか。
 しかも、PDAは機能が絞られているから、説明なしでも結構使える。ビジネス用途展開がし易いのだ。

 一方、携帯電話との競争でも、入力方法で圧倒的に優位にあると思う。携帯電話はボタン入力が基本だ。ペン入力とタッチパッドを搭載しない限り、一般ビジネスマン用業務機器には不向きだと思う。
 ウエブ閲覧にしても、現在のiモードを見る限り、表示能力上、ビジネスマンの日常業務には対応できかねる。
 進化は速いから、携帯電話にとって、この程度の差はたいした問題ではないと見る人も多いが、ここには本質的な問題が内在している。携帯電話利用はオープンではないからだ。新しい取り組みは簡単には進まないのである。

 こうして見てみると、安価にすれば、PDAはビジネス用途のプラットフォームになる可能性を秘めているように思える。

 --- 参照 ---
(1) http://www4.gartner.com/press_releases/asset_113913_11.html
(2) http://panasonic.jp/pc/products/r3d/mobile.html
(3) http://www.jp.sonystyle.com/Style-a/Product/U/index.html
(4) http://www.vodafone.jp/japanese/products/model_3G/v702nk/
(5) http://www.dngsp.com/vodafone-tokio.htm
(6) http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/ah-k3001v/index.html
(7) 2004年9月21日発売 安くて、もう一歩薄いとよいのだが。
  http://genio-e.com/pda/products/830_index.htm


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