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2005.2.3
 
 


巨大オンラインストアは安泰か…

 2004年のインターネット・クリスマス商戦の結果が見えてきたことで、市場の流れが変わり始めたと見る人が増えてきたようだ。(1)

 Amazon.comはここ10年間、この市場で快進撃を遂げてきた。取り扱い商品の幅は驚くべきものだし、顧客は4400万人に達しているという。早くから様々な新技術を投入し、使いやすいウエブを実現したお陰で、圧倒的な知名度とダントツの地位を築いたのである。黒字体質化も実現したから、これからが収穫期と見なす人もいる。

 しかし、そうとは言えそうにないのが実情だ。
 競争相手が追いついてきたからである。
 インターネット販売のIT技術が成熟した上、ポータル広告や検索サービスのインフラが整っており、後発が弱体とは言えなくなったのである。

 実際、個人商店は思わず訪問したくなるような魅力的ウエブを開設しているし、大手小売も積極展開している。知名度を除けば、ウエブの力量差は縮まった。

 そうした結果が、2004年第4四半期売上データに現れているそうだ。
 アナリストによれば、Amazon.comより北米eコマース全体の方が圧倒的に伸びているし、ヒット数を見てもAmazon.comよりWal-Martの方が増加率が大きいという。

 要するに、インターネット小売業は寡占化による沈静化ではなく、激化している訳だ。

 商品提供側が様々なサイトに同時出店するようになってきたから、販促活動の活発化は必然である。
 今や、値引、送料サービス、景品、は当たり前だし、YahooやGoogleでの的確かつ効果的な宣伝が急速に浸透している。しかも、どこのホームページにもこれでもかというほど様々な広告が現れる。

 このことは、圧倒的知名度を誇るトップシェア企業が優位とは言えなくなったことを意味する。

 インターネット検索は簡単だから、価格を気にする顧客は安そうな競合商店を必ず覗く。現実に、価格比較ビジネスも好調らしい。
 このことは、低コストオペレーションに失敗すれば、たちどころにシェアを失ったり、利益が圧縮される可能性があるということだ。

 又、いくら大規模店といっても、特定の領域では、専門店を凌駕できるとは限らない。世界最大のDVDオンラインレンタルのNETFLIXはなんと3万タイトル以上を揃えている。(2)

 また、幅広い品揃えを誇ったところで、個人商店に勝てるとは限らない。購入側の個々目的に合った陳列を実現することは簡単なことではない。限られた特定の嗜好を持つ顧客をターゲットにしている小さな商店は、品数は少なく見えるが、訪問する側から見れば、魅力的な商品が一番並んでいる店と感じるかもしれないのである。なかには、買う楽しみを味わう仕掛けまで用意する店もある。
 細かなところまで応えるべく知恵を働かしている零細業者と、IT技術で個々の要求に応えようとする大規模販売業者の本格的戦いが始まったのである。
 無名小規模販売業者を特定顧客に引き合わせるサービスが提供されているため、この戦いの熾烈化は避けて通れまい。

 ゼロから初めて、赤字をもろともせず一気に走ってきた企業にとっては試練の時といえよう。
 ようやく黒字体質になったとはいえ、累積損失を埋めるためには将来に向かっての投資を削ることになろう。一方、競合が投資を続けたら、競争力は急低下するだろう。

 要するに、巨大オンラインストアは将来安泰との理論に正当性などないのである。

 --- 参照 ---
(1) “Web Sales' Boom Could Leave Amazon Behind”The Wall Street Journal 2005年1月21日 (ウエブは有料)
(2) http://www.netflix.com/PressRoom?id=1005


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