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2005.5.31
 
 


ユニバーサルキーボードシステムを試して欲しい…

 ユビキタスという言葉だけは浸透しているが、誰でもが気付いているニーズがあっても、中途半端な研究開発でお茶を濁し、抜本的な課題解決に取り組まない分野があった。
 視聴覚障害者用のコミュニケーションツールである。

 対象者は全国で約1万3000人らしい。

 従って、研究開発費を投入して素晴らしい製品を作っても、この人達しか使わないと、とてつもなく高価にならざるを得ない。当然ながら、そんな製品が購入できる訳がない。

 といって、買える価格にすれば、企業は赤字ビジネスを抱えこむ。そんな事業を続けることはできないから、企業は敬遠せざるを得ない。

 結局のところ、この分野の研究開発を担うのは、モノ作りやビジネス展開の経験が少ない人達が担当することになってしまう。
 このため、製品化は時間がかかる上、今一歩つっこみ不足でなかなか上手くいかない。

 ところが、こんな常識的見方が覆されるような例が登場した。
 ユニバーサルキーボードシステムだ。(1)

 まだ仕様には不満がのこるが、基本形態ができただけでも画期的と言える。
 (IP化しているのだろうか. 機器IDが欲しい. 赤外線でなくWi-Fi/Bluetoothだとよい. それに, 電池別246gをもっと軽くしたい.・・・切りが無い.)
 この製品は、両手の人差し指から小指に対応する8個のボタンで指点字(2)が入出力できるものだ。まだ大きめで軽いとは言い難いが、携帯可能である。

 驚いたのは、この開発を牽引したのが、エレクトロニクス/通信産業とは程遠い、都市計画コンサルティング企業だったという点である。(3)
 本気になる人がいて、専門家が協力すると、かなりのことができるのだ。

 しかし、注目した理由はこれではない。

 ユビキタス化の動きで一番遅れている領域の研究開発が、こうした小さな市場で行われていたからである。

 どこでもコミュニケーションできる社会という夢は現実性があるようで実は脆いものである。一番の問題である入力方法がさっぱり進歩していないからである。
 屋外で大振りのキーボード「QWERTY」使用など考えられまい。と言って、テンキー「0〜9, #, *」ではとてもまともな情報量を入れることはできない。
 携帯電話やゲームコントローラー/AV機器リモコンで使うジョイスティックやジョグダイアルは画面無しでは使えないし、決まったパターン以外では入力速度が極端に遅くなる。
 音声入力という訳にもいくまい。全員がそこらじゅうで日がな一日携帯電話を掛けているような状態が可能とも思えない。
 そうなると残るのは、タッチパネルしかないが、ローカルの情報処理量が多くなるから、誰でもが使えるようなものになるまでには、相当な時間がかかる。

 簡便な指入力方法がなければ、いくら通信機能が向上しても、モノ同士の通信ばかり発展するだけで、肝心な人とのコミュニケーションの質は向上しない。

 そんなことはわかっていると思うのだが、さっぱり進歩しない。

 指点字“ユニバーサルキーボードシステム”は、この状態を突き抜ける可能性がある。

 もしも、先進的な企業がミッションクリティカルなシステムで使い始めれば大化けするかもしれないからだ。利用価値をはっきり示すことができれば、黙っていても業務用市場が立ち上がる。
 新しい入力方法を試すのは簡単なことではないから、成功の保証はないが、成功の見返りは大きいから試すだけの価値はあろう。

 本来は、こんな類の挑戦に対して補助金を大胆に投入するとよいのだが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.j-ecology.co.jp/eco5-2.htm
(2) http://www.nivr.jeed.or.jp/research/software/soft3.html
(3) http://www3.asahi.com/opendoors/zasshi/pkon/free/20040601.html


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