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2005.10.25
 
 


Cloudが広がる気配…

 米国ペンシルバニア州のPhiladelphiaは、ニューヨークの北東約130Kmに位置する、全米屈指の大都市である。と言っても、1960年には200万人だったのが、50万人近く減ってきたから、人気があるとは言い難いが。
 日本人は注目しない都市だが、ボストンと並んで歴史を誇っている。メイフラワー号が到着し、独立宣言が発せられた場所だから、米国民には気になるところといった感じだろうか。
 といっても、フィラデルフィア・インディーロックは有名だから、先を走ることに自負があるようだ。ロックがお嫌いな人もいるから、1985年にロンドンと結んで、エチオピアの救済を目的にLive Aidが開催された都市と説明した方がわかりやすいか。

 そんな都市で、2006年第4四半期までに、市内全域の無線LAN接続サービスが稼動するという。(1)

 2004年に企画立案を始めた、「Wireless Philadelphia」(2)がいよいよ本格的に動き出すのである。
 計画によれば、料金は月20ドル。もちろん、公共施設内では無料。

 ネットワーク管理は民間企業が行うが、市が作った非営利団体の事業である。
 この価格で負債を完済できるか疑問な点もある。
 しかも、通信業者の自由参加の障壁を築きかねないから、優れた施策ともいえないが、リアリズムに徹すれば代替案もなさそうである。
 CATVや電話(DSL)が提供するインターネットの通信料金が高額だからである。
 ともあれ、米国のブロードバンド普及率は13%に留まっている。(もっとも日本も15%でそう大きな差があるとは思えないが。)やっかいなのは、この先普及スピードが減速しそうな点である。(3)

 米国は低所得層の人口が多いから、どう伸ばすかは大きな課題である。しかも、デジタルデバイドがひどくなりかねないから、官がブロードバンド無線に乗り出さざるを得ないのかも知れぬ。

 しかしながら、それより大きな問題はこのネットワークをどう使うかだろう。
 VoIPによる旧来の電話機代替では、余りにつまらぬ。

 それでは、無線のキラーアプリケーションは何なのか。
 一つの回答は、「Cloud」(4)だろう。電話でも可能な地域イベント情報とも言えないことはないが、ロケーションに合わせた情報展開や相互交流はできかねよう。漠然としたインターネット接続ではなく、地域相手のコミュニケーションが可能になれば、個々の商業施設にとって、不可欠なコミュニケーションになってくるかもしれない。
 昔から描かれていた、夢の世界が、無線インフラ投資だけで、簡単に実現する道が見えてきたとも言えそうだ。

 もしも、ロックの街、Philadelphiaでこのような道具が受け入れられることがわかれば、一気に市場が開けるのは間違いあるまい。
 膨大な市場が開けるから、このチャンスを逃すまいと、yahoo! やGoogleに留まらず、様々な企業が参入を試みることになろう。

 もっともよく考えると、これは人口100万人の都市の活用というより、情報が隔絶した感がある狭いタウンや大型施設内でこそ欲しそうな道具という気もする。

 いよいよ知恵の勝負である。

 --- 附記 ---
(1) http://www.earthlink.net/about/press/pr_wireless_philly/
(2) http://www.phila.gov/wireless/
(3) http://www.forbes.com/digitalentertainment/2005/09/21/broadband-growth-peaks-cx-ld_0921broadband.html?partner=yahootix
(4) http://athenscloud.nmi.uga.edu/athens/cloud.php


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