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2006.1.24
 
 


音楽配信はどうなるか [1 ソフト]…

音楽ソフト/配信金額推移(1)
(2005年は速報値)
2001年 5,031億円
2002年 4,814億円
2003年 4,562億円
2004年 4,463億円
2005年 4,540億円
 ようやく、日本の音楽ソフト市場に曙光が見えてきたようである。
 かつては、CD6,000億円市場と呼ばれたこともあったが、その後は下降一途だった。それが、2005年、ついに、対前年比で市場規模がプラスに転じたという。
 音楽配信が前年の2倍になり全体の7%を占めるまでに成長し、全体の8%を占めている邦楽DVDも前年の1割程度伸張したことが寄与したためである。(1)

 一方、IFPIのグローバルな統計では、デジタル音楽市場はすでに全体の6%を占めるまでに成長し、11億ドルに達したとされる。前年の3倍だ。
 このうち日本のシェアは2割程度。但し、日本市場の96%が携帯電話向けだという。(2)

 日本市場は、世界的には特異と言ってよさそうである。

 いうまでもなく、グローバルで見ればインターネット音楽配信のiTunes Music Storeが世界標準とも言えるほど伸張しているのに対して、日本だけは着メロ/着うたで大騒ぎしているからだ。欧米とは異なり、パソコン連動のPDAがさっぱり流行らなかった市場だから、当然かもしれないが。
 要するに、パソコンはキーボード入力で面倒だし、機器の立ち上がりが遅いから、イライラしてしまうということかもしれぬ。

 とはいえ、携帯電話ダウンロードが流行ったのは、3つの理由があると言う人が多い。
  ・ CDを購入するよりは圧倒的に安価。
  ・ 端末ですぐ聞ける使い勝手のよさ。
  ・ 豊富な楽曲から選べる魅力。

 ということは、パソコンで同じことができる可能性があるということではないだろうか。
 ただ、それに応える仕組みを作ってこなかっただけの話だろう。

 とはいえ、日本でもiTunes Music Storeが開店したから、ようやく本格的な動きが始まったと見てよさそうである。

 さて、どうなるか。一寸、考えてみた。

 iTunes Music Storeは、パソコンソフトのiTunesを通した配信業者である。そして、iTunesはハードのiPodと繋がる。一気通貫の垂直統合的な事業になっている訳だ。Appleの2005年末エンドの四半期のiPod出荷台数は約1,400万台と記録的な売上であり、ハードの普及では圧倒的である。(3)

 この状況がこのまま続くだろうか。

 と言うと、iPod に対する他の機器の戦いがどうなるか、という話になりがちだ。
 だが、よく考えれば、この戦いの本質は「ジュークボックス+プレーヤー」のソフト標準化競争だと思う。着メロでも、人気の秘訣は使い勝手のよさだったとすれば、ダウンロードする際の使い勝手の決め手はこ機器ではなく、パソコンソフトになるのは間違いあるまい。
 楽曲配信業者も続出しているから、iTunes Music Storeの好敵手続出と見ることもできるが、結局はパソコンのソフトからダウンロードするのに便利なショップが主流になるということだろう。
 iTunes Music Store v.s. 他の配信業者という競争より、iTunes v.s. Windows Media Player v.s. その他のジュークボックス+プレーヤーソフトという形の標準争いが繰り広げられているということだと思う。
 従って、機器の機能がいくら優れていても、繋がるパソコンソフトが今一歩では、結局のところ面倒だから、ヒットする可能性は低かろう。

 そんな観点で見ると、状況がわかってくる。

 iTunesは慣れてしまえば、使い勝手は相当よさそうである。従来のジュークボックスとは一寸違う感じはするが、それが使い始めるハードルにはなりそうにはない。
 つまり、このソフトを楽曲の保管に使い始め、慣れてしまえば、他のソフトに移る可能性は薄いと言わざるを得まい。

 これに対して、Windows Media Playerは誰でも使っているプレィヤーソフトだ。
 問題は、ここから音楽を購入するようになるかである。
 Windows Media Playerのオンラインストアには、すでに様々な配信業者が並んでいる。音楽だけでなく、映像を供給する業者も多い。
  MSN ミュージック
  MusicDrop
  Excite Music Store
  Listen Music Store
  PRISMIX TV
  ShowTime
  バンダイチャンネル
  MORRICH Online Videojuke(SONY)
  WOWWOW NEXT ENTERTAINMENT GENETICS
  スカパー!BB
  OCN MUSIC STORE NTT
  OnGen

 このことは、Windows Media Playerが、すべてのメディアをカバーする、ユニバーサルプレーヤーになれるかの結節点が訪れているということだろう。
 もっとも、このようなソフトの戦いとは無関係に販売する業者も多い。どんなソフトであろうと、商品購入は別という訳だ。巨大オンラインショップとしては、なんだろうと売れるものなら手がけることになるし、music.co.jpのように、特化して販売するサイトも次々と登場してくる。独特の商品ラインナップで戦おうという訳だ。
 それに、インターネットの世界では、独占を嫌う人達も多いから、このような動きは続く。

 このような状況で、余程の特徴がない限り、他のプレーヤーソフトは分が悪い。
 配信業者専用ソフトという印象で、便利とは言い難いからである。

 実際、ストリーミングソフトでも、Windows Media Playerに対抗しているのは、Real PlayerとQuick Timeであり、配給業者の音楽配給業者独自路線は上手くいかない。使う側は、業者毎にソフトを変えるのが面倒であるし、業者側から見ても、いくら技術がコモディティ化して安くて簡単になったとはいえ、インフラ作りや、ソフトのメインテナンスを1社独自で行なうのは負担が大きいすぎる。

 配給業者独自路線を、具体的なソフト名で見ると、Mora(SONY)のCONNECT Player、@MUSIC(AVEX)のLabel Gate、オリコンDDのBeatJam、といったところである。
 もっとも、後者の2つの業者は、Windows Media Playerにも対応している。ただ、Windows Media Playerのオンラインストアには登場しないということなのであろう。
 こちらのグループは、要は、音楽ファイルの形式として、OpenMG/ATRACを用いようとしているということだろう。
 そして、この規格はSONYのウオークマンに繋がる。

 プレーヤーソフトの戦いは、実は、ファイル形式の戦いでもある。

 --- 参照 ---
(1) http://www.riaj.or.jp/issue/record/2006/200601.pdf
(2) http://www.ifpi.org/site-content/press/20060119d.html
(3) http://www.apple.com/pr/library/2006/jan/18results.html
 → 続く


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