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2006.1.25
 
 


音楽配信はどうなるか [2 ファイル]…

 音楽配信事業を眺めると、その根底に音声ファイル規格の標準化競争があることがわかる。新しいフォーマットを制するものがカテゴリーを制するという、デファクトスタンダード獲得路線が強まっている訳である。

 携帯電話でもファイル仕様は統一されていない。
  ・i-mode向けの「.mld」
  ・Ez/J-sky向けの「.mmf」

 いうまでもなく、このファイルは携帯電話に向く軽量なものであり、パソコンで直接聴くようにしようと考える動きもない。相互に融合する気はない。
 デジタル化ですべてが同じ土俵にのってくると喧伝されているが、実態は逆の方向に進んでいるようだ。

 デジタル化とは、基本的には、リニアPCM化のことだと思う。
 この流れにのって、CDとDVDの基本規格ができてきたと考えるべきだろう。
  ・16bit:CD(オーディオ用)、DVD Video(DATの系列)
  ・24bit:DVD Audio
 そして、パソコンとして、Windowsの発祥ともいうべき、WAVEファイルが登場した。
 これらは、要するに、デジタルの生データである。サンプリング速度を増せば、質が高くなるということだ。

 しかし、質を高めれば、ファイル容量が大きくなるため実用性がないから、圧縮技術が加わる。本来は、可逆的な圧縮が望ましいが、それでは圧縮率が低すぎるから、非可逆なものを使うしかない。
 非可逆であるから、一度圧縮してしまえば、他の規格への変換も難しいということだ。従って、利用者にとっては、規格乱立は不便そのものである。
 そのためかはわからないが、今までは、非可逆系の標準化は、比較的平穏に進んできた。
 古くは、日本では馴染みが薄いがMP2(MPEG-1のビデオCD)であり、AC3(ドルビー)規格である。
 そして、本格的なデジタル化が始まって、MP3(MPEG-1, シリコンオーディオ用)とAAC(MPEG-2/4)が普及した訳だ。

 しかも、CPUやメモリの能力が高まってきたから、今や、MP3でも、128kbpsが簡単に使えるようになった。結構、高品質である。さらにビットレートをあげることもありえるだろうが、品質をあげても、高音域をカットする方法だから音質向上は余り期待できないと思うが。

 もちろん、これ以外の規格も存在する。SONYが普及を図ってきたMD用のATRACと、その発展系とされるATRAC3である。他にもあるが、一般用に使えるとは言い難いものが多い。例えば、NTTが開発したTwinVQといったもの。
 利用者側から見れば、折角開発したのだから、優れたコンポーネンツや、アルゴリズムの発想が、標準のなかに組み込まれていけばよいのだが、なかなか難しいのが現状だ。

 このような、リニアPCMとその非可逆圧縮系と、一寸毛色が違うのがSACDである。音がよいとされている。
 ようやく、ショップでも数が増えてきたが、まだまだといったところだ。
 リニアPCMといった生データで考えると、高音質のオーディオのビットレートは200kbpsレベルと言われているようだ。と言うより、おそらく、ここら辺りが耳で音質の差がわかる限界と思われる。音質向上競争はほとんど意味が薄れかけていると言ってよいのではないだろうか。SACDはこのレベルに到達しているし、おそらく対抗規格のDVD Audioも同程度だろう。

 規格の競争がゴタゴタするのは、このレベルの話ではない。

 根源は、インターネットとの親和性が必要になってきた点にある。
 特に、ウインドウズに付いてくるWindows Media Playerに対応してきた、圧縮規格のWindowsMediaAudio(WMA)が優位性を発揮し易いと言える。このため、競争が複雑化したのである。
WMAは音声用だが、画像用(WindowsMediaVideo)と一対であり便利であるし、インターネット・ストリーミングにすぐに使える。
 しかも、音質の進歩は著しく、かなりの高音質に達した。
 つまり、WMAファイルでのインターネット音楽配信は、ディスクメディア販売と十分な競争力を持てるレベルに達したということである。  AAC(MPEG-2/4) v.s. WMAの競争と化していると考えてよいだろう。

 こんな状況だから、プレーヤーは様々な規格に対応できるようになっている。
 しかし、配信事業の心臓部は課金システムであり、それを維持できるためには著作権保護の仕組み(DRM)が不可欠となる。

 例えば、AAC(MPEG-2/4)とWMAに対応としている配信サイトは多いし、プレーヤーも揃っているが、両者のDRMに対応していなければ、配信ができる筈がない。
 両立はかなり難しそうだ。

 そうなると、両規格の激突は避けられまい。
 → 続く


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