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2006.1.26
 
 


NHKのサーバー型放送の特徴…

 急に音楽配信の話を続けてしまったのだが、実は、関心の対象は楽曲の配信ビジネスではなく、放送の仕組みの方である。
 著作権も単純であり、ビジネスもわかり易いから、すでに見えている音楽配信ビジネスを先ずとりあげてみたくなったのだ。

 どうして、突然、こんな話になったかといえば、2006年1月16日に、先月開催された第8回「デジタル時代のNHK懇談会」の議事録が公開されたからだ。(1)

 そのなかで、和田郁夫担当局長がサーバー型配信に関する発言を行なった。NHKの体質からみて、いよいよ始めるということに他なるまい。
 少し引用しておこう。

 「我々はかなり本気で取り組んでいます。メーカーと通信事業者もかなり本気でサーバー型をやろうと思い始めており、3者のサーバー型に対する取り組みのタイミングがちょうど合っています。これはなぜかと言うと、世界的には国際的なPC向けの巨大ソフト産業が、放送関連の部分に出ようとして必死に世界戦略をやっています。こうした企業がいろいろな仕組みを標準化すると、台湾、韓国、中国などの日本以外のメーカーが全部作れてしまうのです。」

 「放送そのものではないですが、イギリスの大手通信企業が、3週間位前に、アメリカの大手ソフト企業とオランダの電機メーカーと組んで、イギリス全土でIPTVをやっていくということを発表しました。アメリカのソフト企業の基本ソフトは、PCの世界ではほとんど独占に近い状況になっていますので、次に目をつけている市場はやはりテレビ、コンテンツ市場です。
 彼らはすべての機能をすでに作り上げていますので、DRMというデジタルのコンテンツ保護技術も基本的にはきちんとしたものをすでに作り上げて世界で唯一とも言えるものとなっています。
 それからテレビのハイビジョンを通信上で流すような仕組みも彼ら独自のものを持っていますし、ありとあらゆるものを持ちつつあって、それをイギリスで試して、それから世界に出ていこうというのが戦略です。」

 それで、どうしたいのだと思わず聞きたくなるが、そのような議論をしたくないメンバーが多いようだ。
 なかには、唐突に、研究所を持つことが重要ですといった意見を述べる人もいる。もともと議論する場ではなさそうである。
 しかも、市場の大きさや、課金の話にしか関心が湧かないようで、将来像を話し合うような雰囲気は感じられない。

 言うまでもなく、NHKが所有しているコンテンツは質量ともに並外れている。ここがどう動くかで、配信サービスは、規格からなにから、すべて大きな影響を受けることになる。どうして、もっと生々しい話ができないのだろうか。

 と言うより、ドラマティックな発展を避けるのが日本の方針ということかも知れぬ。
 その方が、新しい取り組みが成功し易いと考えているようだ。

 そう感じさせたのは次の一言である。

 「なぜ、アメリカのソフト産業がイギリスに目をつけたかといいますと、イギリスにはメーカーが無いのです。簡単に入ることが可能で、しかも国土が狭いですから、そこで成功例を簡単に作れる。それから世界に広げていくのが彼らの戦略です。それは視聴者にとっては何ら変わらないことかもしれませんが、我々、放送事業者から言うと、その世界はコンテンツの乱開発にしかならないだろう。おそらくコンテンツが良いものも悪いものもゴッタ煮にして、とにかく売りましょうという世界になるのです。」
 「我々は、もう少し秩序のあるもの、日本でそういうものを作れる能力がある間は、それを利用していきたいということです。」

 番組作成・デジタル化と配信インフラからなる送信側業界と、視聴機器と視聴ソフトといった受信側業界全体の構造をどう考えるのか語らず、瑣末な話で結論を語っていることに注意を払うべきである。

 --- 参照 ---
(1) http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/kondankai/008/pdf/008-gijiroku.pdf


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