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2006.4.25
 
 


Winny遮断とは何なのか…

 インターネット通信事業者「ぷららネットワークス」が、2006年3月16日、ファイル交換ソフト「Winny」を遮断すると発表した。(1)
 これにたいする反応がだいたいわかったようだから、他の通信事業者も同じようなことを始めるだろう。

 ところで、この動きは、“ISPの産業革命”だそうである。(2)お金の取り方を変えることになるから、産業が一変するという意味なのだろう。

 面白い言い方もあるものだ。

 新技術導入に抵抗するという意味では、産業革命より、ラッダイト運動の方が妥当という気もするが。

 それはともかく、こんな形で記者が語らざるを得ないのが、日本の特徴と言えそうだ。
 コソコソと目立たぬように、場当たり的な対策が行われるのである。要するに、問題を先送りし、本質的な議論を避けるのである。

 「Winny」と言うから、セキュリティの話と誤解しがちだが、実は全く関係ない。個々のパソコンのセキュリティにインターネット通信事業者が関与できる訳がないからだ。「Winny」だろうが、何だろうが、同じである。管理がいい加減なパソコンでは、セキュリティ問題は発生するというだけのことである。

 なにせ、金儲けになりそうもない、家庭へのパソコン侵入を日夜狙っている人が少なからず存在しているのが、ネットワーク社会である。こんな環境下で、コンピュータの素人が侵入を防ぎきることは難しいと考えるべきである。
 もっとも、専門家が管理しているにもかかわらず、素人以下の防御体制の、無責任組織も多いようだが。

 繰り返すが、「Winny」遮断とは、セキュリティ対策とは関係ない。

 「Winny」のようなソフトが使われ、通信量が爆発的に増えてはこまるというインターネット通信事業者の都合で行うだけのことである。収入が増えないのに、設備投資が必要になったのではたまったものではないということである。
 すでに、通信量抑制の取り組みは行われている筈である。「Winny」が話題化したから、ここぞとばかり、セキュリティにかこつけ、通信量を減らそうというだけのことだ。

 本当に「Winny」が社会の敵だと思うなら、法律で禁止すればよい。しかし、違法に使う利用者が多数存在していても、適法で役に立つことがあるソフトなら、禁止は無理筋である。

 そんなことがわかっていながら、議論は低レベルで留まっている。
 おそらく、P2Pネットワーク技術の解説もできない人が、「Winny」問題を議論しているのだろう。なにも勉強せず、勝手に自説を主張するのだから、際限なき“「Winny」はどこまで黒か”論が続くことになろう。

 もともと、P2Pネットワークとは、サーバにばかり負担がかかる集中型の仕組みから、分散型に進むべきとして登場したものだ。このような方向に進むべきか、なんの定見もない人達が集まって、「Winny」の是非を論議しても、時間の無駄としか言いようがあるまい。

 素人が聞いていても、議論の質が低くて、お話にならないものも多い。
 なかでも、時々登場する匿名ファイル交換危険論には驚かされる。実態を全く知らない人もいるようだ。

 社内LANの担当者に聞いてみれば、すぐにわかりそうなものだと思うのだが。

 どの端末が、どの外部サイトに接続しているかなど、ネットワーク管理者は、すべてお見通しである。メールにしても、私用の有無など、簡単にわかる。
 就業時間中にアダルトサイトを長時間覗く人もいて、余りに酷い状態なので、接続サイトに制限をかけている企業もあるそうだ。
 中国のように国が管理しているところでは、露骨にこうした行為を行うが、企業は、表沙汰になると面倒だから、表立って語らないだけの話である。企業所有の仕組みだから、その程度の管理が行われているのは当然だろう。
 これがネットワークの現実である。

 言うまでもなく、社内LANでなくても、同じことが言える。
 インターネット通信事業者に接続するということは、その社内LANに加入しているだけのことだからである。
 ネットワーク管理者は、誰がどの外部サイトに接続しているかわからないのではなく、調べないだけのことである。

 従って、本質的には、匿名性が保証できる仕組みではない。

 もしも、今後も匿名の仕組みを維持したいなら、素人であっても、攻撃があったら、攻撃元を調べ(3)、それに合った対応をすべきなのである。そうした行為が伴わないセキュリティ維持は、中途半端なものである。
 ただ、そのような動きを嫌う人は多い。単純に、中国のような管理社会になったらたまらぬ、ということのようだが。

 しかし、P2P型業務ソフトの登場を狙っている人達にとっては、「Winny」遮断など、中国の統制と五十歩百歩に映るのは間違いあるまい。

 ネットワークを荒らす者を取り締まるつもりか、野放しのままにするか、そろそろ、はっきりすべき時が来たようだ。

 --- 参照 ---
(1) http://www.plala.or.jp/access/living/releases/nr06_mar/0060316_2.html
(2) http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20060412/235116/
(3) http://whois.nic.ad.jp/cgi-bin/whois_gw


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