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2007.4.25
 
 


モバイルインフラ作りはこれでよいのか…

加入契約数(万台)(1)
2006.12 2005.3 2003.3
従来型電話(NTT) 5,114 5,827 6,031
従来型電話(他)  378  49  10
 [上記内数のISDN(2)] n.a.  750  863
CATV電話  110  85
IP電話(050番号) 1,040  812
IP電話(OABJ番号)  335  19
DSL 1,424 1,368  702
FTTH 7,940 2,897  420
携帯電話・PHS 9,983 9,147 8,140
 2006年末の電話加入数が公表された。
 従来型固定電話の契約数はさらに大きく減少している。この調子で減れば、あと約10年で半分になろう。
 この状況をどう見るかは人によって違うが、小生は、思ったより進展が遅いとの印象を受けた。
 携帯電話が普及しているから、連絡先としての固定電話設置が減るとの話ではない。
 そんな流れは、話題として面白いから注目を浴びるだけ。有線の電話契約数で見れば、まだ微増が続いているのである。

 見るべきは、既設電話線を利用したADSLや、新しく引き込まれた光ファイバーの普及を示す数値。
 なんと、DSLとFTTHの両者をあわせると9,400万に達する。固定電話の契約数を大きく越えてしまった。ここまで普及すれば、従来型固定電話がIP電話に一気に代替されてもおかしくない。
 その割には、従来型固定電話の数が減らない。  おそらく、IP電話の不安感で、代替スピードが鈍っているのだろう。それに、小生もそうだが、代替が面倒ということだろう。

 それにしても、ここまで来ると、デジタル化ということで莫大な投資を敢行したISDNへの投資結果は惨憺たるもの。全国にくまなく設置した高価なISDN交換機の不良資産化が進んでいる訳だ。こうなるとわかった時点で、早く方向転換すればよいものを、決めた計画を粛々と進めるからこうなるのである。

引き込み電話線の通信速度
PSDN+V.90モデム 〜56Kbps
ISDN 64Kbps x 2本
ADSL 〜12Mbps
VDSL 〜100Mbps
 従来のアナログ固定電話(PSDN)でさえ、安価なモデムをつなげた通信で、56Kbps出せるというのに、ISDNは64Kbps x 2本。これではお話にならない。1本を電話用、残りをデータ通信用という算段だろうが、高額な利用料金を支払って、わざわざ超低速なデータ通信を選ぶ理由などない。
 と言っても、信頼性が高く、IDも明瞭な仕組みだから、導入してしまったので、そのままISDNを使い続けたい用途もあろう。補助金でも出して、IP化を図るなどして、非IPデジタル通信を無くし、全IP化に向かって邁進してもらいたいものだ。
 これができないと、いつまでも先に進めないからである。

UTPケーブルのLAN(Ethernet)
10BASE−T 10Mbps
100BASE−TX 100Mbps
1000BASE−T 1Gbps
 なにせ、室内LANなら、1Gbpsを簡単に実装できる時代である。100mまでとはいえ、光ファイバー並の力量を発揮できる訳だ。実効値では100Mbps 以下かも知れぬが、技術はここまで到達した訳だ。
 ともあれ、家庭やオフィスで普通に利用できるLAN回線は、1996年頃から100Mbps(100BASE−TX)通信に変わってしまい、今やこれが標準。実効速度としては、おそらく30Mbps程度だろうが、この速度で外部と通信できなければ、宝の持ち腐れだ。

 リアルタイムでハイビジョン映像が大陸間伝送できることを実証したのが2005年の愛知万博。おそらく、10Gbpsレベルが実用レベルにあるということだろう。高速化技術は文字通り日進月歩である。
 公称100MbpsのFTTHが急増するのは当たり前である。

 そんな状況で、今一歩なのが、携帯電話によるデータ通信環境。
 費用は高額で、有線と比較し、余りに低速である。
〜 NTT ドコモの移動通信 〜
< 第1世代携帯 >
アナログ
1979年
< PHS >
1995年 32Kbps
< 第2世代携帯 >
TDMA(PDC)
1993年 2.4Kbps
1995年 9.6Kbps
1997年 28.8Kbps
[DoPa]
< 第3世代携帯 >
W-CDMA(FOMA)
2001年 384Kbps
< 第3.5世代携帯 >
HSDPA/HSUPA
2006年 3.6Mbps
14Mbps
100Mbps
[SUPER3G]
< 第4世代携帯 >
新方式(IP化)
1〜2.5Gbps

 ついこの間迄、携帯電話は9.6Kbpsだった。
 普段使っている速度の1000分の1という感覚。第3世代が登場し高速化されたと喧伝されているが、それでも384Kbps。高速感ゼロと言わざるを得まい。それが1桁上がったから、どうやら、高速の入り口という状況と言えるだろうか。
 しかも、欧州中心のGSM陣は携帯電話シェアで過半を占めている優位性があるからか、第3世代(W-CDMA)への移行を急がない方針を採用してきたように見える。対抗の北米を中心とするCDMAが第3世代(CDMA200 1x/EV-DO)で先行するから、対抗上、ようやく腰をあげたとの印象を受ける。

 よく考えれば、もともとPHSは32Kbpsが出せた。これを4本集めれば126Kbps。384Kbpsとたいして変わらない。
 どうして、これほど高速化にもたつかと言えば、投資回収の問題もあるが、携帯電話の仕組みが高速化に向いていないということではないのか。
 高額な投資をすれば、無線の地上局の高速通信化はできる。しかし、携帯端末をそれに合わせのは簡単ではなかろう。高速化すれば電力消費量もそれに見合ったものになろう。電池がすぐ消費してしまうのでは、使えたものではない。それに、データ処理量が増えれば発熱問題の解決も難しくなろう。
 携帯電話を利用するデータ通信は、基本的に、高速移動時と考えるべき時代に入ったように見える。

 しかも、携帯は、IP化されていない。IP化は、簡単ではないということだろう。
 下手をすると、ISDNと同じ運命を辿ることになるかも知れない。

無線LAN
802.11b 〜11Mbps
802.11g/a 〜54Mbps
802.16a 〜70Mbps
[モバイル]
802.16e 数Mbps
802.20 数Mbps
 そう思うのは、余りに、携帯電話投資が嵩み続けているからである。
 これでは、電話型の送信システムである限り、廉価なモバイルデータ通信は、いつになっても実現しまい。
 すでに、光ファイバーケーブルが張り巡らされているのである。通信容量は余っているのだから、これを利用して、もっと安価なモバイルネットワークを提供することは可能である。
 なにせ、WiFi/WiMAXといった802.11規格を用いた無線LANの規格は標準化されており、送信側も受信側も驚くほど安価なモジュールが手に入るのである。
 第4世代携帯の新規格などに投資せず、この流れを加速する方が合理的だと思うのだが。

 もっとも、これは、PHS対携帯(PDC)の競争に似ていると言えないこともない。技術も遅れているし、帯域も不足しているにもかかわらず、ただただ独自規格でデジタル化を進めたいが故に、PHSを葬り去ろうとしたのと同じである。
 PHSは従来技術ではあるが、お荷物となってしまったISDN設備をそのまま使えるし、音も良く、IP化にも向いていた。それに、基地局の価格も、到達範囲が狭いとはいえ、携帯と比較すれば2桁安価。

モバイルTV放送の規格
DVB-H
日本 ISDB-T
米国 MediaFLO
韓国 T-DMB
 それに、高速移動中にテレビを見る必要もなかろう。放送を流すなら、802.11規格で十分だと思う。携帯と放送との融合を無理に図る必要などなかろう。
 そんなことに注力する位なら、すでに張り巡らせた光ファイバー網に802.11規格の無線LANを至る所に設置する方が新しい産業を切り拓くことに繋がる。国土が狭い日本の特徴を生かすべきである。
 そんな仕組みを作り上げようとする起業家に期待したい。

 --- 参照 ---
(1) 電気通信事業分野の競争状況に関する四半期データの公表(2006年度第3四半期(12月末)) 総務省 [2007.3.23]
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/070323_7_gy.pdf
(2) http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060529_3.html


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