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2008.1.23
 
 


Windows Vistaの浸透の仕方…

 先日、ウエブ閲覧、eメール、ワープロ(MS Word)しか使わない知り合いがパソコンを買い換えた。機械が不調で、仕事にさしつかえかねないから致し方なかったようだ。
 量販店の陳列はVista搭載PC一色。機種の違いはよくわからないから、そこそこの価格のものを選んだという。
 おそらく、こんな買い方が一般的なのではなかろうか。

 ウエブを眺めていると様々な主張を見かけるが、こうした現状を踏まえて発言して欲しいものだ。
 典型は、昔は高価だったMacも、今では同等価格帯に入ってきたから、買い換えの選択肢に入っているとの主張。それは一部の人達だけに通用する話でしかない。
 いくらMacが使い易いといっても、使い慣れるには時間がかかる。それに、つながらない周辺機器だらけ。Windowsから移行するには余りにバリアが高すぎるのである。そもそも、いかにもマニア臭いデザインが一般人を遠ざけているし、逆に、それがAppleマニアの嬉しさでもあろう。
 ともあれ、Macを選ぶのは、パソコン好きと、大昔、Macを使ったことがある人の一部だと思う。
 ましてや、安価なPCにLinuxをインストールするなど素人ができる訳もない。パソコンを駆使している人でも、使いたいソフトや、周辺機器のドライバがあるのか考えた瞬間、選択肢外になるのがオチ。

 しかし、この状況でかまわないと考える人は少ないだろう。
 OSが統一され、そのメインテナンスと発展のための巨大な費用が生まれ、その技術的進展に合わせて、周辺機器やソフトを開発できたから今のような状況が生まれた。それはそれで意義があったと思う。しかし、進歩が止まってしまえば話は別。コモディティ化して超安価になるなら別だが、独占の弊害と言わざるを得なくなったようだ。

 現状は、どう考えたところで、過剰スペックのハードを無理に使わされているとしか思えまい。素人にとっては、Vistaとは、画面が美麗になり動作が多少快適になる程度のものでしかなかろう。機能(セキュリティ,電源管理,バックアップ,ファイル検索,無線ネットワーク,等)が格段に強化されたところで、そのメリットはたいしたものではない。巨大なメモリと高度なCPUを使ってまで追求すべきものとはとうてい思えない。
 こんな程度なら、XPのセキュリティ向上版が一番有り難い。
 換言すれば、一部の人達のメリットのために、大多数の人が高価なものを買わされるのはご免こうむりたいということ。

 Vista発売後約1年経過したが、“個人向けに出荷されるPCでは、ほぼ100%がWindows Vistaを搭載している。これに対し、企業向けPCの出荷では、Windows Vistaの搭載率は5〜10%のレンジにとどまっている”(1)そうだ。
 現行ソフトが完璧に使えるか、様々な周辺機器が対応できるかの確認だけでも結構な仕事量だから、すぐに跳びつくことは無いにしても、評価が低いということ。
 なにせ、専門家がWindows以外のOSを検討し始めたりしている位なのだ。(2)

 ただ、これは当たり前の話ではある。異種Windows製品を同居させ、問題が発生でもされたらたまったものではない。Widows 2000から、2000を発展させたXPへの代替とはかなり質が違うからである。
 それに、別に、XPでこまっていることはない。Vistaが進歩していると言っても、セキュリティといった見えない部分が中心で、企業内パソコン使用者が直接感じるメリットは電源管理・ファイル検索・リモート設定位のものではないか。そんな状態で、代替して問題でも発生すれば、意思決定のまずさを指摘されかねまい。
 それに、Office 2007を導入して、.doc .xls .pptファイルを止めることも考えにくい。Office 97からのファイルの継続性を保てる方が余程重要だ。Office 2007で行くなら、XPの方がましと考えるのはごく自然な発想だと思う。
 つまり、システム全体の更新に踏み切る以外は、Vistaは避けた方がよいとなる訳だ。(3)

 IT系企業は別だろうが、一般企業が待ち望んでいるのは、XP SP3のようだ。

 そう強く感じるのは、Vistaの次はどうなるかとの質問がさっぱり出なくなったから。つまり、専門家に、まともな回答ができる力など無いと見るようになったということ。
 だいたい、1Gものメモリを使って、複数のCPU搭載チップなどという、素人が考えてもとんでもない力量のマシンのくせに、実質的にはたいした進歩を感じさせないのがVistaである。CPUとOSの二人三脚的な開発の仕組みが機能しなくなったとしか思えないではないか。

 本来なら、進歩が止まった時は、不連続的な革新を狙うべきだと思う。
 しかし、残念ながら、そんな動きは感じられない。Linux分野は船頭ばかり多いようだし。

 結局のところ、パソコン買い替え予算を計上している企業は、しかたなくVistaに移行することになるということらしい。(4)

 --- 追記 ---
2008年1月25日、ASUS製の、XP Home搭載4GBフラッシュメモリのA5ノートパソコンが発売になる。(5)画面が少々小さいとはいえ、カメラ・無線LAN仕様の本格的なもの。量販店で10%戻しポイント込みで\49,800だ。
一方、XP Homeだけ購入すると、10%ポイント付で\25,000。 OS価格の高額さには驚くばかり。

 --- 参照 ---
(1) 針生恵理: “ Windows Vista SP1:RC1一般向けリリースとレビュー開始” Gartner [2007.12.17]
  http://gartner-b3i.jp/analyst/071217/index.html
(2) King Research: “2007Windows Vista Adoption and Alternatives: A Survey of Technology Professionals” [2007.11]
  http://www.kace.com/pdf/KACE_VistaSurvey.pdf
(3) [英国の教育機関サポート団体の検討結果] Becta: “Microsoft Vista and Office 2007: full report” [2008.1/9]
  http://publications.becta.org.uk/display.cfm?resID=35275
(4) Benjamin Gray: “How Windows Vista Will Shake Up The State Of The Enterprise Operating System
  Wide-Scale Enterprise Deployments Of Windows Vista Will Start In Mid-2008” Forrester
  http://www.forrester.com/Research/Document/Excerpt/0,7211,41408,00.html
(5) http://jp.asus.com/news_show.aspx?id=9536
(イラスト) (C) clipart.jp http://www.clipart.jp/index.html


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