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2009.4.27
 
 


IT革命の熱は醒めたのだろうか…

 世界一の国際電話通信会社はSkypeだそうである。
 IP電話部分は無料だから、合理主義者や私用で国際電話を多用する人がとびつくように利用しているということか。日本はケータイマニアばかりだから、たいして浸透していなさそうだが。
 2008年の世界の使用量4,170億分の8%に達したという。(1)
 有料電話接続料金からの収益を糧に成長してきたのだろうが、いかにも難しそうなビジネスモデルで、よくここまで成長したものだというのが、正直な印象である。

 ここまで浸透してくれば、国際電話サービスの市場規模が激減し始めてもよさそうに思うが、余り変化がないらしい。
 IP電話のシェアは23%だというから、価格低下はそれほどのものではないのだろうか。まあ、経済はグローバル化したが、電話のIP化は遅々とした進展だからそんなものかも。

 日本国内を見ると、安価な通話料金になるIP電話の普及はたいして進んでいない。ようやく2割を超えた程度。(2)それに対して、高額な通信料を払わざるを得ない携帯電話の普及は凄い。日本では、コスト意識は希薄なのだろう。
 一方、フランスでは、家庭におけるIP電話の普及率が4割を超えたという。ただ、西欧全体では、2008年末で、固定電話の3割弱といったレベルのようだが。(3)

 言うまでもないが、固定電話のIP化とは、電話+ブロードバンド+ビデオ配信がバンドルされたものが家庭に入ることを意味する。放送や新聞といったマスメディアが、お金ばかりかかる配信・配送の仕組みを止めざるを得なくなる可能性が高い。生活は大きく変わるということになる。
 そんなこともあって、固定電話のIP化が「IT革命」を切り拓くとされ、よく議論されたものだ。しかし、現実には、未だに旧来の電話の仕組みが主流。ここだけ見ていれば、IT革命はまだまだ先の話。
 なにせ、現在囃されているのは、携帯電話のような電話網の仕組みばかり。すべての情報をIP化し、同一インフラで流す方向とは全く逆の話。
 これでは「IT革命」どころではない。

 さらに、逆行して見えるのが、Web2.0で大騒ぎする人達の姿勢。たいていは、Googleをもてはやす。これが驚くことに、「IT革命」で騒いだ人達。
 かつての日本を彷彿させる情景が思い出される。何が言いたいか、おわかり頂けるだろうか。・・・
 ISDNは、世界最先端を走る高品質なデジタル回線網だった。高価とはいえ、その交換機の品質は素晴らしかった。おそらく、ほとんどの人が、「デジタル社会」の将来像に期待したと思われる。当然ながら、それに応えた膨大な投資が行われたのだが、その結果はご存知の通り。
 マインドセットされた、巨大企業のシナリオの盲点がよくわかった筈ではないか。

 メインフレーム王国の崩壊も同じようものだった。独占的な地位を確立したリーダーが提起したシナリオがどうなったか知らない人はいまい。巨人になった企業のシナリオを無批判的に賞賛するような姿勢をとれば、イノベーションの種を見逃すだけという良い教訓である。

 例えば、Googleがクラウドを牽引するのが最善とは限らないということ。巨大企業のデータセンター運営企業がイノベーターとして登場してもおかしくないのだ。もしかすると、もっと違うところから伏兵が登場するかも。
  → 「クラウド競争本格化」 (2008年10月23日)
 特にそれを強く感じさせられるのが、Google製OS。Googleの考えているビジネスモデルにはメリットになるのだろうが、使う側にとってのメリットは自明ではない。
 にもかかわらず、Google一本槍型の流れを推奨する人が少なくない。
 無料の高度な検索機能を提供してくれるのだから、支持したくなる気持ちはわからないでもないが、その膨大なコストを誰かが支払っているのである。
 昔から言われているように、フリーランチは高くつく。

 Google一本槍路線は、革命路線からの逸脱に見えるのだが。

 --- 参照 ---
(1) “Skype’s share of the international long-distance pie on the increase” TeleGeography [24 March 2009]
  http://www.telegeography.com/cu/article.php?article_id=27800&email=html
(2) 「平成20年通信利用動向調査の結果(概要)」 総務省情報通信国際戦略局
  http://www.soumu.go.jp/main_content/000016027.pdf
(3) “European VoIP?The Revolution is Underway” TeleGeography [22 September 2008]
  http://www.telegeography.com/wordpress/index.html%3Fp=76.html
(イラスト) (C) clipart.jp http://www.clipart.jp/index.html


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