↑ トップ頁へ

2010.2.23
 
 


ふと、ISPが気になって…

 2009年2月、各自が使っているインターネットプロバイダーがどの程度の通信速度なのかわかるようになった。YouTubeのビデオファイル送付速度統計値が表示されるようになったのである。(1)
 GoogleのCEOの主張に沿った動きといえよう。先に進もうとしない状況に、喝を入れようと図るビジネスマンの存在は嬉しい限り。

 ただ、それは米国をイノベーションのリーダーとして君臨させ続けようというパトスに基づく行動。日本にも、そんなスピリッツを感じさせるビジネスマンはいたのだが、今は昔。

 CEOの一節を引用しておこうか。・・・(2)
  “ We can no longer rely on the top-down approach of the 20th century,
   when big investments in the military and NASA spun off to the wider economy.
   Now that the Internet has put abundant information and powerful tools in everyone's hands,
   innovation is often driven from the bottom up. ”
 その通り。
 情報を活用して、新しい智恵を生み出す構造ができているなら、創造力発揮の意志がありさえすれば、イノベーションは創出されるものなのだから。

 さらに、米国の競争力強化のための6つのポイントもあげているが、日本ではそんな議論以前の状態だから割愛させていただこう。

 もちろん、この主張、口だけで収まらない。
 周囲が動かないなら、自ら動くということ。必要とあらば、Googleはインターネットプロバイダーとして登場するのもやぶさかではないようだ。
 “at a competitive price to at least 50,000 and potentially up to 500,000 people”で1Gを提供するそうだ。(3)
 日本ではすでに1Gを使っている人もかなりいる状況だから、それと比較して進展が遅い米国の状態に大いにご不満なのだろう。

 それはそうと、ファイルの送付速度は、インターネットプロバイダーの処理能力とサーバからの通信回線の距離に大きく影響を受けるが、現在の一番の問題は前者だろう。
 投資を抑えて収益を向上させるために、YouTubeユーザーの速度を遅くしているインターネットプロバイダーがいてもおかしくない。YouTubeの通信量が増えることが収益にプラスに働かないのだから当然の姿勢。
 それに、進歩のスピードが落ちている。
 拙宅の経過を考えてみると、進歩が実感できたのは、光ファイバー導入まで。だからこそWindows XPで十分ということになる。ほぼ4段階か。
  (1) 電話線にモデム(弁当箱のような大きさ。)
    送るのに時間がかかり、切断もあり、印刷して大量FAXしたりと大変だった。
  (2) 電話線にPC差込カード(ようやく速度が0.064Mに)
    ようやく書類が簡単に送れるようになり便利さを実感した。
    後、電話線はパソコン直接差し込みになり差込カード不要になったが。
  (3) 固定電話をISDNに変更。モバイル用にはPHSと差込カード(速度0.064M)
    →後、差込カードをUSB型に変えた。
  (4) マンション光ファイバー(電話線)を導入。
     ・ADSL変更は固定電話に戻すのが面倒なので導入せず。
     ・CATVの宣伝もあったが、回線構造の説明が記載されていないので避けた。

 ちなみに、この“マンション光ファイバー”をどの程度の回線速度か調べてみると、当初の宣伝文句だった理論値100Mには相当な隔たりはあるが、低い時でも10Mは出ているようで、結構良好である。(4)

 一方、異なる場所でも、時々、“マンション光ファイバー”方式を使っているのだが、8M近辺で2桁になったことはない。ADSLは5M近辺の地域らしいから、たいした違いはない。無線エリアが強化されたようで、数Mで安定して通じるようになったため、こちらは廃止することに決めた。

 インターネット接続はライフラインに近いので、サービス価格への関心は薄いが、比較のウエブを見てみるとピンキリ状態らしい。回線費用別途なら、「光ファイバーマンション」の月額最安は336円だそうである。(5)これでは、100万件の顧客を抱えても、40億円の年収。これで、100万への対応業務をこなし、通信量増加とIPv6対応の設備投資を続けることができるとは思えないから、付加サービスで儲けを出しているのだと思うが、そう簡単な事業ではないことがよくわかる。映像配信サービスも軌道に乗せるのも並大抵のことではないのが実情のようだし。(6)

 ただ、接続サービス市場はまだ飽和してはいないようである。2009年9月末時点のブロードバンド契約者数は、ADSLが1,047万件、FTTHが1,655万件、CATVが425万件。3月末から、FTTHは152万件増加、ADSLは76万件の減少だそうだ。(7)
 ここまできていて、ブロードバンド回線に繋げるパソコン以外の機器がさっぱり現れないのが日本の特徴と言ってよいのではないか。
 米国で流行っているものなら確実だが、それ以外はリスクが高いから御免ということなのだろうか。

 --- 参照 ---
(1) “Speed Matters: Introducing the YouTube Video Speed Dashboard ” YouTube [February 11, 2010]
   http://youtube-global.blogspot.com/2010/02/speed-matters-introducing-youtube-video.html
(2) Eric Schmidt: “Erasing our innovation deficit” WashingtonPost [February 9, 2010]
   http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/02/09/AR2010020901191.html
(3) Minnie Ingersoll and James Kelly: “Think big with a gig: Our experimental fiber network” Google Blog(video付) [2/10/2010]
   http://googleblog.blogspot.com/2010/02/think-big-with-gig-our-experimental.html
(4) 「スピードテスト-USEN」使用  http://www.usen.com/speedtest/top.html
(5) 「プロバイダーナビ」  http://www.provider-navi.jp/?c=ads&utm_source=adsense&utm_medium=cpc
(6) “ソネットエンタテインメント株式会社へのISP事業の事業譲渡に関するお知らせ” USEN [2009年12月24日]
   http://www.usen.com/admin/corp/news/pdf/2009/091224.pdf
(7) “ブロードバンド市場は次のステージへ ―ブロードバンド回線事業者の加入件数調査 (09年9月末時点)―” MM総研 [2009.11.19]
   http://www.m2ri.jp/newsreleases/main.php?id=010120091119500


 インターネットのインパクト の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2010 RandDManagement.com