---「IT基本戦略」批判


 --- 月刊誌「Voice」2000年2月号 掲載

 平成12年11月27日にIT戦略会議が「IT基本戦略」を打ち出し、 29日には「IT基本法」が成立した。 「ついに国家戦略が見えた。」ということで、皆、大歓迎のようだ。

 日本を代表する識者を含め、リーダー達の英知を集め提起したから、これで日本復活は確実と安堵感を覚える人も多かろう。

 21世紀をひかえ、皆が期待するこのような大きな動きに水をさしたくはないが、国家100年の大計とも言える重要施策なだけに、本当に優れた戦略かどうか検証すべきだろう。
 遅れを取り返そうと、はやる気持ちはわかる。しかし、この戦略に乗って本当に大丈夫なのか。ここで、道を間違ったら、もう取り返しがつかないのではあるまいか。

 危機を呼び込みそうな源泉は大きく4つある。

 1  「日本の遅れ」の反省に基づいていない。
 2  「知識創発型」社会を支える人材育成策に現実感が欠けている。
 3  産業構造を変えるための「競争政策」導入を避けている。
 4  新産業勃興シナリオは全く見えてこない。

 今のままでは「IT基本戦略」は、財政政策要求型のIT産業振興策でしかない。

(C) 1999-2001 RandDManagement.com