IT革命
 昨年11月、政府は鳴り物入りでIT戦略を打ち出した。アーサー・D・リトル社シニアアドバイザーの小久保厚郎氏は『Voice』2001年2月号の「『IT戦略』批判」の中で、「競争より護送船団方式を選んだ愚作はすぐ撤回せよ」と直言する。日本の遅れの反省に基づいていない、人材育成策に現実感が欠ける、競争政策導入を避けている、新産業勃興のシナリオが見えてこないなど問題点が多く、財政政策要求型のIT産業振興策でしかないと酷評する。「5年で世界最高」と狙うと一見野心的だが、ISDN、ハイビジョンなど過去の失敗例に学ばない技術の先走りが見られ、肝心の魅力的な利用法創出に触れていないと手厳しい。インターネットの意義は既存産業の創造的破壊で大きな産業を創出することだが、既存産業のリーダーたちに変身を迫る「競争」を避けた「護送船団」方式では、通信インフラを活用した新産業起こしは難しいと見る。
財団法人フォーリン・プレスセンターが、外国メディアを対象に日本の主要月刊誌の論調紹介を目的としたブレティン「Views from Japan」2001年2月号より