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2001.5.20 |
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産業志向の「ロボット学」が欲しい…北野共生システムプロジェクト総括責任者、北野宏明氏の著書「大人のための徹底!ロボット学 最新テクノロジーから、ロボカップまで」(PHP研究所2001年1月)が出版された。昔と比べ、明らかに下火になっているロボット取り組みを、底辺からの動きを掘り起こし活性化させようとの企画と思われる。意義はわかるが、「どのような技術が、これから必要になるのか?」の指摘内容には違和感を覚える。必要とされる技術自体はその通りだろうが、簡単に解決できそうにない「基礎科学」の課題が並んでいる印象が強い。人工筋肉に近い駆動装置の開発といった「理想論」的な指摘が多すぎる。新しいロボット産業を急いで起こすには、将来課題ではなく、現に産業化の桎梏となっている問題の解決を訴えるべきと思う。 一番の問題は明らかにコストである。安価なロボットが提供されれば、機能不足に見える商品であっても、どこかに市場はある。適用が始まると、周辺の応用技術が一気に開発され、潜在市場が短期間に勃興する。千載一隅のイノベーション創出のチャンスを活かすべきだ。 産業勃興のための主用課題は4つに絞れるのではないか。 純技術面では以下の3つだが、アクチュエーターが高額であることが産業化を阻んでいるのは明らかだ。従来型の工業用ロボットで基本技術は確立しているのだが、安価大量生産を図る企業が出現しない限り、ロボット産業は伸びないだろう。 ● 安価なアクチュエーター機構(制御モーターと減速機器) ● 丈夫で安価なセンサー ● 長時間駆動できるパワーサプライシステム(小型電池) これ以外に課題としてあげられるのが、制御プログラムの標準化である。NCマシンの普及も、圧倒的に強い日本の1社の制御方法でまとまったから急速に進んだのである。バラバラな仕組みのままでは、いかに優れた機能を持っていても一過性の利用や、狭い分野の応用しかできない。広く使える体制構築の出発点は標準OSが見えることだ。 ● リアルタイムで稼動可能なロボット制御に適当なOS といっても、動かす対象のハードがないままでのOS議論は机上の空論だから、鍵を握るのは安価なアクチュエーターの開発と思われる。 現在のアクチュエーター分野は高収益産業であり、低価格大量製品提供のインセンティブは働かない。挑戦者登場に期待するしかない。 新しいロボットの目次へ トップ頁へ>>> |
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