↑ トップ頁へ

2001.5.21
 
 


歩行ロボット登場の衝撃…

 97年に2足歩行と4足歩行のロボット試作品が日本企業から突然発表された。工業用ロボットの先進国日本ならではの快挙とされている。そして、ASIMOとAIBOは国民的英雄の地位を確立した。
 しかし、歩行という観点で見るなら、MITの人工知能研究所の6足歩行ロボットが先行していた。当時、歩行ロボットに興味を持っていた企業は、当然この技術に注目した。取入れを図ったり、学ぼうとしなかった企業はあるまい。ところが、そのような時代を忘れ、ロボットは日本先行と語る人が多い。どこが6足歩行に比べて革新的なのか、論拠を議論しておく必要があるのではないか。

 それでは、日本企業の歩行ロボットは、どこが凄いのか。勿論、その技術的完成度の高さには驚嘆するが、なんといっても素晴らしい成果は2足歩行の「新しい制御システム」である。今までとは異なる技術系譜だ。この特徴を抜きにした議論をすると産業技術の流れを見誤ると思う。

 2足歩行ロボットの動きを見て、企業のエンジニアが驚くのは、2足で歩くことでもないし階段を上るという高度歩行でもない。ものを押せたり床を傾けても対応できる点だ。従来型の工業用ロボット制御の技術体系では「事実上」不可能だった作業ができるようになった。
 対象物の重さが予め分っていない状態で対応するのは、とてつもなく困難な作業だ。従来の見方からいえば、解決できるなら、マジックである。センサーで受けた力を測り、力の入れ具合を調整するという制御は、理屈でしかない。工業用ロボットは、決まった環境下で、プログラムに設定された特定の範囲の重さの荷車を押すことしかできない。(逆に、工業用ロボットは特定の範囲のものに対応するのは得意だ。)荷車押しロボットでないにもかかわらず、突然、荷車を押せるというのは、ほとんど「夢」の世界だった。
 この夢がほぼ実現された。ロボット全部品の質量・運動量を実データをもとに動きを予測する方法論を完成させると共に、周囲からの反作用衝撃を吸収するノウハウを確立したのである。これで、世界初の「動歩行」ができるようになったといえる。まさに新しいロボット登場と言えよう。この方法論をベースにロボットを設計すれば、コンピュータ能力の進展を簡単に活かすことができるから、応用展開は急速に進む筈だ。まさに衝撃的な技術体系である。

 歩行ロボットというとどれも同じ様に見えるが、この2足歩行ロボットだけは、他とは全く異なる。しかし、その違いを的確に指摘する発言が少ない。おそらく、人工知能研究者が多いから、機械制御そのものの革新には特段の意義を感じないのであろう。


 新しいロボットの目次へ     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com