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2004.3.18
 
 


二足歩行型ロボットばかり…

 2004年3月、トヨタが二足歩行型ロボットを発表した。(1)
 トランペットを指で操作でき、唇を動かし、本格的な演奏が可能なロボットだ。万国博に登場させるためのイベント用には最適かもしれない。

 しかし、イベントに使うエンタテインメント用ロボットではないようだ。
 エンタテインメント用は、ワイヤー駆動にすることで、軽快な動きが可能なロボットが担当するようだ。こちらは開発中とされているが、すでに魅力的な踊りが披露できる段階に到達している。
 トヨタのロボット開発の基本は、アシスタント・福祉用である。

 「人が親しみやすい二足歩行の形態とし、手で多様な仕事ができる」ことが特徴とされており、歩くこと自体に重きがおかれている訳ではなさそうだ。

 人のそばに来るロボットは二足歩行型に限る、といった風潮ができあがっているのだろう。鉄腕アトムを見て育った人が多いから、二足歩行型ロボットに力強いエールをおくってくれるから当然かもしれない。

 ホンダやトヨタといった高収益企業が本腰を入れて注力してくれれば、間違いなく素晴らしい製品が生まれるだろう。・・・と考えて、皆の期待感は膨らむ一方である。ますます、二足歩行型ロボットに注目が集まることになる。

 もっとも、大企業でなくとも、ロボット開発を進めている企業もある。ベンチャーのZMPだ。こちらは、研究は大学等にまかせ、もっぱら開発に専念している。広くパートナー企業(2)の支援を得ることで、力を発揮しているようだ。
 この3月、二足歩行型ロボットの受注を開始すると発表した。
 ロボット教育用の製品のようだ。

 こうした流れは、見ていても楽しいが、気になる点がある。二足歩行型ロボットばかり登場する点である。
 研究段階なら当然だが、そろそろ開発段階に入る状況ではないのだろうか。
 実際、3月2日の次世代ロボットビジョン懇談会の「報告書(案)」(3)を見ても、規制問題の議論もされており、本格的に、ロボット産業立ち上げが始まりそうである。

 しかし、産業を興すつもりなら、二足歩行型だけでよいのだろうか。

 例えば、災害時に使えるロボットは、どう考えても、四足や六足がベストだろう。人でさえ、四つん這いでしか行けない所に、不安定な二足ロボットが行ける筈があるまい。
 介護でも、同じことだ。補助用具が無い時は、どこでも介護は二人がかりである。足は4本必要なのだ。

 トヨタの発表でも、タイヤで動くロボットが並んでいる。産業用だ。この分野なら、わざわざ二足にする必然性はない。

 本気で生活場面にロボットを入れるつもりなら、多足歩行ロボットも必要だと思うのだか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.toyota.co.jp/jp/special/robot/
(2) http://www.zmp.co.jp/html/partner.html
(2) http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g40302d32j.pdf


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