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2005.1.13
 
 


立ち上がるロボット新市場…

 2004年12月15日、走る「次世代ASIMO」が公開された。
 まさに“The Power of Dreams”である。(1)

 一方、失礼ながら、“The Power of Copy”の思想を貫くのが、韓国KAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)である。
 KAISTのロボットは、写真で見る限り、大きさや形態がASIMO ウリそのものだ。キャッチアップが目標であり、韓国版ASIMO と呼ぶそうだ。(2)

 すでに市場がある訳でもないのに、物真似プロトタイプ作成に意義があると語る「先端」研究開発者のセンスに驚かされた。(3)
 もっとも、これは韓国ばかりでなく、日本でも言えることだが。

 形態は真似でも、ネットワークロボット構想があるということなので、斬新なコンセプトがあるかもしれないと思っていたら、“illustrious visionary”氏の発言がニューズ記事に掲載された。
 ざっと読んで見たが、残念ながら、特段の情熱は感じられない。素晴らしさについても、共感できなかった。(4)

 ヒト型ロボットは産業用ロボットとは違う。社会に入り込むためには、先ずは、夢や思想が必要ではないだろうか。
 “The Power of Dreams”が鍵だと思う。

 愛・地球博に登場するトヨタ自動車のロボットにも明確な主張がある。
 こちらの、コンセプトは、人の活動をサポートできる「やさしさ」と「かしこさ」だそうだ。(5)

 ロボットとはサイボーグやヒトクローンではない。ロボットの役割をはっきりさせない限り、技術をどの方向に発展させるべきか、決められまい。

 コンセプトこそ、自律型ロボットの開発の肝なのである。

 2足歩行を狙うつもりなら、その意義をはっきりさせることが出発点だ。

 このことは、常識的なビジネスマンなら、すぐにわかる筈である。
 すぐに次の疑問が湧くからだ。
  ・より安定性がある3本、4本、6本足を何故追求しないのか?
  ・車輪やキャタピラー移動のような、即実用化できそうな方法を避ける理由は?

 従って、キャッチアップと称する物真似研究とか、形態を真似ただけのプラットフォーム開発に、どのような意味があるのか理解に苦しむ。
 ヒト型ロボットは自動車とは違うのである。コンセプトが曖昧なままで、物理的なプラットフォームの仕様をどうやって決めるつもりか教えて欲しいものだ。

 その観点では、ASIMO の物真似研究より、ROBO-ONE に登場するロボットの方が余程魅力的だ。(6)
 遊びといえば遊びではあるが、ここには「面白さ」という明瞭な訴求ポイントがある。

 もっとも、これを「遊び」と決めつけると誤りかもしれない。現実にホビー市場が開けつつあるからだ。(7)
 実際、第5回RoboOne Jクラスで優勝している、「小型人型ロボット組立てキット:KHR-1」の出荷数は1,000を越えたそうである。(8)(優勝したのはプロトタイプのようだが)

 第6回ROBO-ONE決勝トーナメント(2004年8月8日(9))で、準優勝をさらった「Cycloid II」も教育用ロボットメーカーを目指すオーストラリア企業Tribotix (10)製である。

 韓国が主導するロボ・サッカーのFederation of International Robosoccer Association を見ても、様々な国から参加者を集めており、遊びをかねたロボット市場が開けつつあるのかもしれない。(11)

 2004年12月13日に開催された、第2回ICARA(International Conference on Autonomous Robots and Agents(12))を見ると、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールがこの分野に力を入れているようだ。

 アジアパシフィック地域で、ホビーロボット市場が立ち上げる可能性は高そうである。

 --- 参照 ---
(1) http://www.honda.co.jp/HDTV/ASIMO/200412-run/
(2) http://ohzlab.kaist.ac.kr/robot/KHR2/khr2.htm
(3) http://times.hankooki.com/lpage/tech/200411/kt2004112316265112350.htm
(4) http://times.hankooki.com/lpage/tech/200412/kt2004121919114911780.htm
(5) http://www.toyota.co.jp/jp/news/04/Dec/nt04_1201c.html
(6) http://www.robo-one.com/index.html
(7) http://www.rakuten.co.jp/tsukumo/
(8) http://www.kondo-robot.com/html/Robot_products_kit.html
(9) http://www.robo-one.com/6th/result_6th/result_6th_f.htm
(10) http://www.tribotix.com/index.html
(11) http://www.fira.net/
(12) http://conferences.massey.ac.nz/ICARA2004/


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