↑ トップ頁へ |
2005.3.28 |
|
|
愛知万博開会式を見て感じたこと…愛知万博の開会式の映像では、思わず、名誉総裁ご挨拶に注目してしまった。最近の宮内庁の公開ビデオが“万博のご進講シーン”一色だったからである。(1)モリゾー君の名前を始めて知ったのも、ご家族ビデオ内での皇太子殿下のなにげないお言葉だから、どうしても、気になってしまった。 ・・・という話はさておき、モリゾー君がぬいぐるみだったのが、残念だった。(2) もう一歩技術が進んでいれば、ロボットモリゾー君だらけの会場にできたのに。 などと考えさせられたのは、開会イベントで、パートナーロボットが楽器を演奏し、走れるロボットASIMOと、踊りが得意なQRIOが登場したからである。(3) 愛知万博の目玉はユカギルマンモスとされているし、環境がメインテーマだが、一般の人から見れば一番見たいのはこのようなロボット達ではなかろうか。 もしそうなら、おそらくトヨタ館が一番人気のパビリオンになるだろう。自動車ではなく、ロボットだから夢を感じるのである。 ・7台の楽団「CONCERO」を形成するパートナーロボット(4) ・人間が乗って操縦する二足歩行型ロボット「i-foot」 トヨタ館が集客力を発揮してくれることは万博運営上は有難い。しかし、もう少し、なんとかならなかったのかと思う。 こんなことを言っても、なんのことやらさっぱりわかるまい。 はっきり言おう。 千載一遇のチャンスにもかかわらず、どうして、日本の総力をあげてロボット市場をこじ開けようとしないのか? おっとっと、間違ってもらってはこまる。トヨタの楽団演奏の話ではない。これはこれで楽しいし、大いに結構である。 問題は、万博全体の方である。 今のままなら、ロボット産業振興のチャンスを逃してしまうのではないか。 問題は単純である。 第1の問題は、露出不足である。 ロボットキャンペーンを展開するだけでも、状況は変わると思うのだが。 万博ロボット応援コミュニティの動きもないようだし、このままでは、トヨタ楽団以外は注目されずに終わりかねまい。もったいない。 安全上の理由で、どうしても、蔭にかくれがちなロボットを、一気に表に出すチャンスである。ロボットに対して、皆がどう反応するのかを知る絶好の機会でもある。これを逃す手はないだろう。 子供向けにやさしく説明するだけでも、効果絶大だと思う。 例えば・・・(5) ・ゲートでは、緑色のロボットがお迎え。 (「C4」[綜合警備保障]) ・パビリオンでは、黄色のロボットがついてきて展示を説明。 (「ワカマル」[三菱重工業])(6) ・迷子センターでは、銀色のロボットがお話相手。 (「イフボット」[ビジネスデザイン研究所]) ・夜のフロアーでは、清掃ロボットが動き回る。 (「AV−S1E」[富士重工業]) 第2の問題は、メジャーなヒト型ロボットを欠いた点だ。 ASIMOとQRIOは、どうして開会式にしか登場しないのか、誰でも不思議に感じるだろう。 引き込めなかったのか、引き込みたくなかったのかわからないが、本当に残念である。 これでヒト型への反応を知る術を失ってしまった。 パートナーロボットも、対抗馬がいなければ、万博を通じて市場展開のヒントを得ることはかなり難しそうだ。見世物で終わらせるつもりがなくても、観客にとっては比較対象が無いのだから、それ以上の反応を示すことはあるまい。 第3の問題は、「NEDOの次世代ロボット実用化プロジェクト」(7)発表会に映るようなイベント企画である。 どうしてもっと大規模なイベントを目指さないのか理解に苦しむ。なにせ、期間限定である。(「2020年人とロボットが暮らす街」“モリゾー・キッコロメッセ”6月9日〜19日)(8) ロボットは、一挙に出演すると壮観だ。しかし、この企画がそうした印象を与えるかは未知数である。特定ロボット展示会との印象を与えてしまう可能性もある。 ・地図情報から効率的な移動経路を決定する屋外用自律走行型掃除ロボット「SuiPPi」 [松下電工] ・ブラシで屋外を掃除/ゴミ箱を運送するロボット「ロボハイターRS1/T1」 [富士重工業] ・警告・通報とタッチパネル案内ロボット「ガードロボi」 [綜合警備保障] ・不審物の回収・運搬ロボット「ムジロー/リグリオ」 [テムザック] ・身振りと音声で応える案内ロボット「wakamaru」 [三菱重工業] ・表情を交えて会話する接客ロボット「アクトロイド」 [アドバンスト・メディア/ココロ] ・車椅子ロボット「TAO Aicle」 [アイシン精機/富士通] ・チャイルドケアロボット「PaPeRo」 [日本電気] 以上の問題点をまとめるなら、仕掛け不足と言えよう。 言うまでもないが、伝えるべきことは、“色々な分野で展開しているぞ”とか、“凄いものもあるぞ”ではない。総体として、人の生活のなかに入ってくる“ロボット文化”を実感させることである。 これこそが“Art of Life”そのものではないかと思ってしまうのだが。 例えば、新顔登場でさらに華やかになるのはプラスだが、バラバラ感を助長させるとマイナスになるということである。 ・案内や話し相手になり、障害物を回避して動く二輪のヒト型ロボット「EMIEW」 [日立製作所](9) 人の生活に直接係わらない分野を一緒に扱うのも、考えものである。恐竜ロボットも、テーマパークの高度化用との印象が強いと損である。人が操縦するエンタテインメントロボットとか、相互コミュニケーションを生みだす雰囲気をつくらないと、ロボット文化の香りは生まれないのではないかと思う。 ・博物館需要期待の「ティラノサウルス/パラサウロロフス」ロボット [産業技術総合研究所/NEDO](10) もう一工夫して、ヒト型ロボットの本質や、人とロボットのコミュニケーションの仕組みを、万博入場者に実感として伝えて欲しいと思う。 なんらかの“ロボットとの生活”イメージが生まれれば、ロボット市場開拓の第一歩を踏み出したも同然である。生活ロボット産業の幕開けだ。 --- 参照 --- (1) http://www.kunaicho.go.jp/meta3/h170223-300.wvx ・・・手前の方の役割は? (2) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/ai/etc/view/005.html (2) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/ai/etc/view/005.html (3) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/ai/etc/view/029.html (4) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/ai/etc/pavilion/003.html (5) http://mytown.asahi.com/aichi/news02.asp?c=40&kiji=5 (6) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/ai/etc/pavilion/008.html (7) http://www.nedo.go.jp/informations/press/kaiken/170307/pre.pdf 18頁に“モリゾー・キッコロメッセ”展示仕様 (8) http://www.expo2005.or.jp/jp/C0/C3/C3.8/C3.8.2/C3.8.2.6/index.html (9) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/ai/etc/pavilion/004.html (10) http://www.asahi.com/special/robot/TKY200503040161.html 新しいロボットの目次へ トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2005 RandDManagement.com |