↑ トップ頁へ |
2005.8.23 |
|
|
2足歩行ロボット実用化は遠い?…2005年8月15〜16日、愛知万博EXPOドームにさまざまなロボットが集まった。満席で大人気だったようだが、最後の2足歩行ロボットのショーで事故が発生してしまったという。(1) と言っても極く単純なトラブルだったらしい。 “ドアが開かないのにロボットが動き出してしまった”のだ。すぐにドアを開けたらしいが間に合わず、ロボットが持つトランペットとドアが触れ、ロボットが転倒してしまった模様だ。お陰で、ロボットは外装が割れてしまい散々だったという。 とはいえ、会場が騒然となったのは転倒した一瞬だけ。司会者が場をとりもち、予備ロボットが登場。 ショウにとっては、たいした問題ではなかったようである。 しかし、2足歩行ロボットの実用化は遠いという印象を与えてしまったかもしれない。残念である。 言うまでもないが、転倒防止は簡単ではない。 古い話で条件も違うが、「ROBO-ONE Special」の階段昇降競技がその状況を物語る。リポーター氏によれば、“惜しいロボットもいたが、ことごとく失敗”だったという。(2) 二足だから、一寸のことでバランスを崩せばすぐに転倒するのだ。 予期せずモノに接触すればなおさらである。作用反作用の法則で力を受けるから、対応の仕組みがなければ立っていられる筈がない。 こうした事故を見ると、ASIMOは他のロボットと大きく違うことがよくわかる。 例えば、台車の動きが抑圧されても、それに対応して台車を押して進むことができるし、ドアを押しながら通過することができる。(3) 外部から力を受けてもバランスが崩れないような仕組みを取り入れているのだ。換言すれば、ぶつかっても転倒しないロボットを目指す思想が流れているということだ。 しかし、口で言うのは楽だが、実現は簡単ではない。もし全面的なフィードバック制御で対応したら大手間である。従って、予測を取り入れていると思われる。 どのような環境条件がありうるか考え、対処できるよう、一つ一つ問題を潰す作業を行ったのだろう。 大変な作業だ。だが、実用化には不可欠である。 その観点で今回の事故を見ると、ASIMOはかなり進んでいると言えそうだ。 と思ったのは、“あまりの悲惨な現場にASIMOも目を覆ってしまった”(4)からである。 こんなポーズがすぐにとれる筈はない。 事故を見てしまうのも想定の範囲内だった訳だ。 --- 参照 --- (1) 大学のロボット研究者のブログ ・2005年8月19日ロボットニュース【ロボフェスタ『ロボット大集合』のステージ裏】 ・2005年8月17日【愛知万博・ロボフェスタ『ロボット大集合』】 http://blog.livedoor.jp/baby_touch/archives/2005-08.html#20050819 (2) http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0304/kyokai22.htm (3) http://www.honda.co.jp/factbook/robot/asimo/200011/05.html (4) http://aitech.ac.jp/~furuhasi/robo/tetujin3/report/robofes/index.html --- 参考 --- “ロボット事故を予期する 愛知万博の会場は絶好の実証フィールド” (中山力) 「日経ものづくり」2005年5月号107頁 新しいロボットの目次へ トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2005 RandDManagement.com |